「バットマンとスーパーマンを同じ映画に登場させる、と言う点は申し分ないが。」バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
バットマンとスーパーマンを同じ映画に登場させる、と言う点は申し分ないが。
クリストファー・ノーラン。ザック・スナイダー。
オレの大嫌いな映画人である。だが前作「マン・オブ・スティール」は、ザック・バカエンジェル・ウォーズ・スナイダーのシリアス・ダークナイトのうじうじ路線と「見せる(すぎる)スローアクション」からの「見せない(詐欺)超高速アクション」への転換に非常に興味深く見させてもらった。スナイダーの映画としては気に入ったほうだった。
だが、「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」でもういいや、と思ったオレが本作をまあ、期待たっぷりに見ることはまずない。
「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」
その続編にあたる本作の原題はVだが、VSにしてしまう日本人ヒーロー気質に微笑みはするも、ジャスティスの誕生の副題をそのままつけて、完全に「ファン以外門前払い」の作りにはなっているだろうなとマゾ的な視点で期待しつつ鑑賞。
バットマンとスーパーマンが「仮に」戦うとなると、ミドリのアレが出てくるのはアメコミファンでなくても映画ファンならわかるわけで、そんな二人の戯れにオレの興味はない。
ベン・アフレックの「スケベ」封印のウェインにちょっとがっかりも、「いからせ肩」に絶えず苦笑い。アーマースーツになるなら、肉体はそうでなくてもよいでしょう。ましてや、相手は「神」である。おなじく「スケベ」封印のジェレミー・アイアンズのアルフレッドにはそれ以上に失笑。
しかし、ダークでなければいけなかった男の、神のような、そして一瞬にして多くを救う、そして一瞬にして無に帰することのできる力、との出会いと葛藤。ウェインの、スーパーマンへの「複雑な感情(いや単純か?)」は十分に伝わり、かなわない敵。だが、果てなき挑戦は良く描かれている。
本作の、バットマンとスーパーマンを同じ映画に登場させる、と言う点は申し分ない100点満点。
だが、本作何といっても一番の欠点はジェシー・アイゼンバーグ。
こいつは、あれだね、「ファントムメナス」のジャージャーだよ。出るだけで、しゃべるだけでイラッとする。いや、もちろんそういう役作りなんだどうけども、「渋い」ベンと「眉間しわ寄せ」ヘンリーの間に立つには軽すぎて、暗い画面の色調にあっていない。
こいつのつくる「アレ」もまあ、ありふれた造形で、こいつとのバトルがまあ、退屈だ。またハリウッド映画では珍しく「敵が待ってくれる邦画伝統芸」を魅せてくれる。
そして「昔から老けていた」コンビ、エイミー・アダムスとダイアン・レインの女コンビ。「スーパーマン」に登場する女性はピンポイントで狙われる点は「らしくって」良し。
全体的に演出は極めて「幼稚」。画面は暗く「シリアス(笑)」。ザックとノーラン。この二人の存在こそ、まさしく本作を象徴している。バットマンとスーパーマンとは、まさしくこいつら。
それこそが本作のバランスで、うまくいったところであり、ダメだった点でもある。そこがチラチラ見えることがとても面白い。
だが、アイゼンバーグだけがバランスをぶち壊して興ざめである。