「そのひたむきさに感動です」世界の果ての通学路 shikahikoさんの映画レビュー(感想・評価)
そのひたむきさに感動です
2012年のフランス映画で、ケニア、アルゼンチン、モロッコ、インドの4人の子どもたちに焦点を当てて、彼らの「通学」の様子と、彼らの学業を支える家族、授業の一コマを捉えています。
ケニアのジャクサン君11歳は、砂漠を素手で掘って水汲みをし、炭作りを手伝ったりしながら、7歳の妹サロメを連れて、毎年4~5人がゾウの襲撃にあって死亡するというサバンナの草原を通って片道15キロの道のりを2時間で毎日「通学」します。
アルゼンチンのカルロス君11歳は、山羊飼いの手伝いを終えてから6歳の妹ミカイラと共に馬に乗って、パタゴニア平原を通って片道18キロを1時間30分かけて毎日「通学」します。
3000m級の山々が連なるモロッコのアトラス山脈の辺境の村に生まれたベルベル人のザビラちゃん12歳は、家族の中で初めて学校に通える世代として、家族の期待を一身に背負い、片道22キロの山道を徒歩で4時間かけて、毎週寄宿学校まで「通学」します。
インドのベンガル湾沿いの漁村で足に障害を持って生まれたサミュエル君13歳は、車いすを2人の弟たちに押してもらい、片道4キロの悪路を1時間15分で毎日「通学」します。
どの道も、日本のアスファルト道のような道は皆無です。その道を彼や彼女は、時に命の危険を感じるほどに苦労しながらも、楽しそうに通うのです。
そして辿りついた学校で、本当に一所懸命勉学に励んでいるのです。
特に印象に残った授業はカルロス君の受けていた授業でした。
日本でいえば小学校5年生の授業で「搾乳のシステム」について教えているのです。メチャンコ実践的な授業ですよね(^^)
ジャクソン君は世界を見ることを夢見て飛行機のパイロットを、カルロス君は地元に貢献するために獣医を、ザビラちゃんは文盲の祖母や両親に支えられて医師を、サミュエル君は両親や弟たちの助けを借りながら、自分と同じような障害を持つ子どもを助けるために医師を目指し、懸命にいて気います。
本作は、その、清々しくもたくましい姿を淡々と描いた珠玉の作品といえると思います。
是非、小学生中学年以上の子どもたちに観てほしい作品です。