劇場公開日 2015年1月31日

「亀梨和也の活劇と深田恭子の七変化を楽しむ作品。」ジョーカー・ゲーム Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0亀梨和也の活劇と深田恭子の七変化を楽しむ作品。

2015年2月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

単純

入江悠 監督、初の大作映画。
知恵と工夫で低予算映画を成功させてきた監督に。
従来とは違う予算を与えると、どうなるか!?
結果は……箱は立派“風”だけど中身は粗雑という残念な感じに。
ニール・ブロムカンプ監督の映画「エリジウム」と似た現象が起きていました。

主役の亀梨和也。
誰よりも細い眉毛が作品の雰囲気を大いにブチ壊している点はありましたが。
体を動かす場面の躍動感は良かった。
印象に残ったのは米国大使邸内での英国諜報員との戦闘。
テーブルの下を転げ抜け、体勢を整え、攻防戦を繰り返す。
また細い路地での追いかけっこも楽しい。
早着替え、物の引き倒し、ドアを使った妨害、等々。
活劇部分にはグッときました。

相手役の深田恭子。
台詞がヨタる安定の低演技力。
明らかに運動神経に欠く走る姿。
そんな技量面でのポンコツ振りを補って余り有る肉質感、熟れ感、重量感。
彼女がメイド服、チャイナ服、平民服、等々に七変化する姿は多分に趣味的、魅力的。
その存在のみで作中での価値を示した点には好感を持ちました。

音楽も良かった。
直前に岩崎太整の劇伴特集を聞いていたこともあり。
本作では劇中に流れる音楽に意識が。
特に活劇が盛り上がる際の劇伴の入るタイミングと音楽のテンポ。
その後の展開への期待感を煽る劇伴にアガりました。

惜しむらくは脚本。
観客側が恥ずかしくなるようなテンプレ話。
意外性はゼロ…創意工夫の部分が無い分、不誠実とも言えます。
では定番話をやりきって安心して観れる作りかと言えば。
冷静で現実的な結城中佐の要素を摘み喰いしているせいで。
主人公である嘉藤のキャラクターが「D機関」に合っていない。
入口は原作「ジョーカー・ゲーム」にも関わらず、嘉藤のキャラが大いなるノイズに。
中盤、或る場面で嘉藤が引き返す場面では思わず舌打ちが出ました。
また冒頭の結城中佐が言い放つ「スパイ!」の間抜け振りは(悪い意味で)印象的でした。

とは言え、ジャニーズ主演の作品。
配役と予算の関係で話の選択肢が限られてしまったのか、気の毒だな。
…なんて思っていましたが。
脚本家がアノ“渡辺雄介”センセイ。
映画「20世紀少年」「ガッチャマン」「MONSTERZ モンスターズ」等の産廃作品を量産する逆安打製造機。
話の内容にはビタイチ納得出来ませんでしたが、作品の出来には酷く納得出来ました。
この調子ならば実写映画「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」も下馬評通り産廃でしょうね。

亀梨和也の活劇と深田恭子の七変化を楽しむ本作。

一番残念だったのは本作独自の新鮮さが殆ど無かった点。
低予算が故に実現出来なかった表現が多々あろう入江悠 監督が。
以前に比べれば多額の予算で行ったのが…過去の映画作品のオマージュとショッぱい銃撃と爆破とは。
「俺がやる○○」を無邪気にやる姿は嫌いでは無いですが。
海外への移動場面の赤い矢印や細い路地での竹棒・鶏、等々は楽しめましたが。
全体的に印象が薄い、貧乏臭さが残る作品になったのは残念でした。

個人的には映画「日々ロック」の方が勢いや馬鹿さ加減も含めて楽しめました。

亀梨和也の活劇と深田恭子の七変化で満足する方であれば。
オススメです。

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Opportunity Cost