「和製スパイ映画は「ルパン三世」?」ジョーカー・ゲーム 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
和製スパイ映画は「ルパン三世」?
第二次大戦前夜。仲間を庇い上官を殺してしまった士官候補生が死刑の直前、“D機関”の結城に救われ、スパイとしてスカウトされる…。
同名小説を映画化したスパイ・アクション。
海外ロケも敢行し、「ミッション:インポッシブル」の路線を狙ったであろう本格的な和製スパイ・アクションだったが、厳しい声、声、声…。
個人的にはまあまあ思いの外楽しめた。満載なツッコミ所も含め。
あの時代において上官の命令に背く事自体、作り物。
死刑の直前現れた結城は自らスパイである事を名乗り出る!
スカウトされるや否や、才能の片鱗が全く描かれていなかったにも関わらず、見る見るスパイの才能を開花させる主人公。
スパイ“嘉藤”として機密文書を奪取する初任務に挑むも、いきなり謎の美女の色香に惑わされ…。
ツッコミ所は挙げたらキリが無いが、初メジャー作となる入江悠監督はケレン味たっぷりのエンターテイメントに徹した演出。
「K20 怪人二十面相・伝」のような架空の戦時下を舞台にした娯楽活劇。
ノリはアニメ。途中から「ルパン三世」を見ているよう。
そう感じさせたのは、深田恭子。
薄幸の美女かと思いきや、金の為に生きる女スパイ。
様々なコスチュームも披露、色気漂う美貌を発揮。
黒木メイサより不二子ちゃんだった。
主人公の亀梨和也も、英語・中国語・手品・体を張ったアクションに挑み、頑張ったで賞。
終始クールな役柄で、カッコいい亀梨くんを見たい彼のファンには堪らない筈。
にしても、ポスターの亀梨が布袋寅泰にしか見えず…。
結城役の伊勢谷友介は一見凄みを発揮しているが、特に何をする訳でもなく、肩書きだけの存在感。
軍服姿の嶋田久作を見てると、自然とあの魔人を思い出してしまう。
シリーズ化を意識した終わり方。
今回はそれなりにという感じだったが、更なるスケールアップさせればシリーズ化も悪くなさそう。
この“D機関”、全くのフィクションじゃない。
戦時中に実在したスパイ養成学校“陸軍中野学校”がモデルだとか。
それを題材にした市川雷蔵主演の同名映画は、冷徹なまでにスパイを描いた邦画屈指のスパイ映画であった。