「ファイト一発!お父さん。」グレート デイズ! 夢に挑んだ父と子 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
ファイト一発!お父さん。
ドキュメンタリー出身監督らしい作り方で、これという抑楊がない。
淡々と父子の関係を描くことで、きずきを得ていくような作品。
自身が障害を持ったことも、そういった子供を育てたこともない
自分に、この作品の全貌が本当に理解できたのかは愚問だが、
親子の断絶(まではいかなくとも)、こんな不器用は親は多いと思う。
(自身の親もそうであるがゆえ)なぜ子供と真摯に向き合えないのか、
あるいは冗談のひとつでもサラッといえないのか、と不思議に思う。
今作主演のJ・ガンブランは、いかつい表情でその辺りを見事に演じ、
実際に車いす生活を送る息子役のF・エローの苛立ちがリンクする。
あ~いるよな、こういう親子。とその辺りは素直に共感するも、
母親に過保護に愛されてきた息子は、ある意味怖いもの知らず(爆)で、
堂々と父親に挑戦を突き付ける。
どう考えても年齢差があり過ぎる親子に見える本作では、何も父親が
こんな歳になってから「アイアンマンレースに出よう」もないだろーが!
と気の毒に思えてならなかったが、いやいや、和解に早いも遅いも
ないわな、と思い直した。
さすが!素晴らしい!と驚嘆したのは、木村大作もビックリ?の絶景。
冒頭からおぉ~!と感動する山々の広大景色といい、とにかくスゴイ。
そんな中を、親子でシュ~ッ!と滑り降りていく二人自転車のショット。
いやー。そりゃ気持ちいいわ。観てるだけで気持ちよさそうだもん。
べつにレースに出なくてもいいから、これからはそうやってお父さんと
触れ合えばいいじゃん!なんて、気弱な中高年意見を言いたくなる。
しかーし。息子の意志は固かった。一度は断られた出場権を取り返し、
(フツーできないでしょ、こんなこと)何とか親を説得し、出場権を得る。
さぁ困った。息子は本気だ。お父さんは無我夢中で練習を開始するが…
トライアスロンが過酷なスポーツだ。ということしか知らない私には、
それまでの体力作りや調整の難しさは分からない。とにかく過酷で、
しかも老体に鞭打って、となると生半可な意識ではやり通せないだろう。
よく頑張った!もうなんも言えねぇ。
後半、力尽きた父親が倒れこむところなど、可哀想でならなかったが、
こういったチャレンジを継続するストイックな精神力が私にもあれば。
(何ていい家族。息子も素直に育っているし。景色との調和が著しい)