「なぜポールダンス。」想いのこし ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
なぜポールダンス。
よく行く映画館でかなり以前から今作の予告が流れていた。
どうやら近辺で撮影をしたらしく、予告編も地域限定版で
岡田君が語りかけていたが、実際に本作を観て、あーここだな。
と思うところはそんなに多くなかった(六本木や川崎もあったし)
ちょっとご当地風景が面白いなとは思ったけど、内容はうーん…
いい話ではあるのに、どうも描き方が散漫で、笑わせたいのか、
泣かせたいのか、納得させたいのか、どれよ?という感じだった。
頑張った役者さんには申し訳ないけど、
なんでこの3人がポールダンサー?というくらいに違和感がある。
突然の事故でこの世を去ってしまう4人が、主人公にだけ姿が
見えることを知り、現世に遺した想いを遂げていくという物語。
結末は大体分かるし、岡田君演じるガジロウが、ろくでなしから
変化していくんだろう、というのもほぼ読める。なので新味はない。
一番泣かせるのは広末演じるシングルマザーの息子で、母親の
死後、独りで生活をして進学する!と施設行きを断ってしまう。
説得してくれ!とガジロウに頼んでも、幾らくれるの?と、彼は
どこまでもお金に汚ない。しかし頼れるのがこの男だけである今、
選択肢のない4人は、大金と引き替えに彼に頼むのだったが…
本来泣かせるように持っていける話を、笑いを誘う味付けに
したのはいいんだけど、盛り込み過ぎてとにかく場面展開が雑。
4人もの願いを叶えるには、どう見てもガジロウは役不足であり、
加えて彼の女装姿ばかり目を惹いてしまうなんて非常に勿体ない。
「お前の母ちゃん裸踊りで稼いでるんだろ!」とバカにされた息子へ
ポールダンスを披露するシーンでも、果たしてあれを芸術だと
小学生が理解するだろうか?と首を傾げてしまう。お前のために
懸命に働いていたんだぞ!の方がよっぽど説得力があると思う^^;
突然この世を去ることになれば、思い遺すことは数えきれない。
やりたいことはたくさんあるだろうし最後の一言だって言いたい。
亡くなる人も遺された人も、それが叶わないからこんな夢を見る。
逢えなくても見えなくてもどこかで生きていると信じているから。
(しかし岡田君て女装も丸裸も何でもやるからエラい。俳優の鑑!)