「微妙のこし」想いのこし 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
微妙のこし
3人のポールダンサーと運転手の乗った車が、突然道路に飛び出してきた青年と接触、青年は奇跡的に助かったものの、車の4人は命を落としてしまう。
が、この世に未練があり、成仏出来ない4人。
唯一、4人が見え、話す事が出来るのは、事故の張本人の青年。しかしこの青年、金と女にしか興味が無い最低人間で…。
4人それぞれのこの世への“想いのこし”。
一人は、同郷の恋人と結婚式を挙げる事。
一人は、片想いの相手に気持ちを伝える事。
一人は、やり残した仕事の“ほう・れん・そう”。
一人は、息子。
青年を通じて、やり残した事をやり遂げ、想いを伝え、成仏していく。
嫌々ながら多額の報酬金目当てだった青年も、それぞれの想いに触れていく内に、自分自身を見つめ直す。
死者と生者の、平川監督のもう一つの“ツナグ”。
笑えるシーンもあり、ハートフルなシーンもあり、ジ~ンとさせるシーンもあった。
だけど、全てがステレオタイプ。
事件や問題が起き、その都度感動の場面が用意され、ここで感動しろ!ここで泣け!…と要求されているかのよう。
『ROOKIES』もそうだが、平川監督のクドい泣かせの演出は、ステレオタイプを通り越して陳腐ですらある。
岡田将生演じる青年は、ガラリと最低性格が変わるんじゃなく、チャラ男のままなりに、少しずつまともになっていく描かれ方には好感。
にしても、演技が漫画的にオーバーリアクション過ぎ…。
これはキャスト全員に言える。
広末涼子も鹿賀丈史も好演しているが、魅せられる演技が無かった。
広末の息子役の男の子は達者な演技。
話的にも見易く、思ってたよりかは悪くはなかった。
でも、何もかもあざとく平凡過ぎて…。
何だか色々と、微妙感が残る作品だった。
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