「映像+心象=良質な 映画」真夜中の五分前 虎吉郎さんの映画レビュー(感想・評価)
映像+心象=良質な 映画
美しい画面に、入れ替わりを繰り返すことで自分が何者かという自信すら失いつつある双子の姉妹。
傑作になる材料は揃っている。
だからこそ、三浦春馬に問いたい。
君は何を目指しているのか。
TVドラマ俳優なら、今のままで良いだろう。
映画俳優を目指すなら、もっと人間の心理を追求した演技をするべきだ。
例えば、悲しい時に人の心の中にあるのは悲しみだけではないはずだ。
なぜ自分だけがこんな目にという怒りや、幸せそうな他人への妬み。それらが極限まで押し上げられた時に、人は笑みすら浮かべる時がある。
傑作と呼ばれる映画、「さよなら渓谷」「そこのみにて光輝く」「悪人」は、そういった複雑な人間の心の奥を描いている。
三浦春馬はまだ喜怒哀楽の一面しか表現していない。TVドラマ俳優ならそれで良い。お茶の間で、電話や宅急便の受け応えをしながらの視聴者には複雑な心理描写は混乱の元になる。だから一面の心理を描くだけで良い。
映画の観客は、もっと深い心理の表現を求める。複雑に絡み合った心の揺れを、言葉や大袈裟な表情ではなく、視線の動きや息遣いや佇まいの中にある小さな仕草を待っている。
三浦春馬には、主軸を映画に置いた芝居を目指して欲しい。今回は仕方ないとして、次回は、
観客の心の中の琴線に触れるような演技が観られることを期待しています。
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