「中盤まではよかった」寄生獣 完結編 kuさんの映画レビュー(感想・評価)
中盤まではよかった
原作のことはあまりよく知らなかったのですが、原作ファンの友達に連れられて前篇も今回の完結編も劇場で鑑賞しました。
前篇よりはとても面白かったと思います。それぞれのキャラクターが印象的で、中でも深津絵里演じる田宮は他のキャラクターよりも丁寧に描かれていたように感じ、魅力的でした。無機質なパラサイト達が多く登場する中で、彼女の存在や彼女の行動、言動は見ている側をぐっとひきこみ、共感を生むものだと思います。演技も、声のトーンの変化や美しいのに恐ろしさを感じるまなざし・・・素晴らしかったです。
浅野忠信も圧巻でした。
何も言わずとも立っているだけで「ただものではない」感じが伝わってきます。立ち姿だけであれだけ貫禄を出すところはすごいです。
アクション映画としては躍動感があって、楽しめました。中盤までは。
中盤以降。まずラブシーンは必要なかったと思います。
明らかに流れが不自然で、正直お金の匂いを感じます。
ヒロインを出さなくてはいけないのかもしれませんがあれなら出さない方がましでした。尺も微妙に長く、その時間をもっと他に使ってほしいという感じです。興ざめです。
それから全体的に詰め込み過ぎた感が。
ドラマやアニメと違って約2時間×2で終わらせなくてはいけないというのが大きいと思いますが、「この話もこの話も」と盛りだくさんすぎて、もうちょっとすっきりさせてくれた方が見ているこちらは見やすかったなあと。
そしてこれも原作を読んだら納得いくのかも知れませんが、人に寄生し、人を食い殺してきた寄生生物達が最後の最後なんだかちょっといい存在になっていて・・・。人間の為?寄生生物は人間の生き方に疑問を投げかける貴重な存在?人間の残酷さ、人間の愚かさを訴え、考えさせるにしても映画内だけではちょっと説得力がないというか中途半端なメッセージになってしまったような・・・。
未知の生物がやってきて人間と戦争を始めた物語。と言われた方がしっくりきます。寄生生物がやってきて人間に寄生し、人間がそれをどこかで望んでいたことに対する説明的な描写が少なすぎたような・・・。