劇場公開日 2015年4月25日

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「映画オリジナルとしては良くできている」寄生獣 完結編 えのきちさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映画オリジナルとしては良くできている

2015年4月28日
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興奮

『寄生獣 完結編』を鑑賞。
昨年11月に公開された前編に続く後編となる。

パラサイトである島田(東出昌大)を倒した新一(染谷将太)は、次々とパラサイトを退治していくが、ある日ジャーナリストの倉森(大森南朋)に姿を激写されてしまう。
一方、パラサイト達を統括する広川(北村一輝)は市長となり、市役所内にパラサイト達のコミュニティを構築していた。

本作を鑑賞する方々は既に前編を鑑賞しているであろうから、原作との設定の違いなどは織り込み済みのものとして考える。ただ、公開直前に地上波で放映された「特別編」は、あまりにも酷いカットぶりだったので、あれを観てから完結編を観ようと考えている方はもう少し待ってレンタル版を観直してからにする事をお薦めする。

相変わらず展開は早すぎるが、アレンジはそう悪くはない。前編に比べれば見せ場が数多く用意されており退屈する間など全くないので、最後まで飽きる事なく楽しむ事が出来るだろう。
映像のグロさも前作と比較すれば少し控え目となっているようにも感じる。(単に慣れただけかも知れないが)

原作ファンからすれば色々と不満がある事は前編を観た時点で明らかであるから、前編に対して肯定的である方のみを対象にするなら間違いなく楽しめる作品に仕上がっているので安心していただきたい。
逆に前編に肩を落とした方には残念ながら挽回するには及ばないのであろうから注意が必要だ。

今作の田宮良子(原作では田村玲子)が子供を新一に預けるシーンは最大の見せ場となっており、田宮役の深津絵里の演技には脱帽、実に素晴らしいシーンとなっている。
前編を観た時に最大の過ちだと思えた母親との戦闘でのワンシーンもこの場面を観れば「有り」だったのではないかと思わせてしまうほどの説得力であった。

そもそも今回の実写化については俳優側は本当に頑張っていると思う。ありもしないCGシーンでの演技はもちろんの事、登場人物はどれも原作通りではないものの納得の演技であった。単に前後編2作で完結しようとした事自体が無謀なのであり、様々な不満を産む結果となってしまったのだ。

実写化が発表された時、原作ファンの大半は否定的な思いだったのではないだろうか。
しかし、その逆風の中、エンターテイメント作品としてこれだけの作品に仕上げた山崎貴監督はじめ俳優陣には素直に拍手を贈りたいと思う。

前作同様PG12作品には相応しくないとは思うもののGW注目の作品である事には変わりない。
是非前作を復習した上で鑑賞していただきたい。

えのきち