「遊園地のアトラクション」ジュラシック・ワールド SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
遊園地のアトラクション
パニックムービーとしてはそこそこ。ストーリーは全く面白くない。遊園地のアトラクションのシーンがいろいろ出てきたが、まさに遊園地のアトラクションで展開される程度のうすいストーリーだった。
CG、特に透けているものやみずみずしいもの、柔らかいものなんかの表現はすごいなと思った。実写シーンとの合成もほんとうに自然だ。
ジェラシックパークに大衆が求めているものってこういうことなのね、と思うと、まあそんなもんなのかな、と思うし、ちょっと悲しい。
家族ドラマ、恋愛ドラマのつけたしはまるで料理のパセリみたいなテキトーさで、そんなテキトーなもんなら要らんわ、と思った。
ないと料理らしくないから、まあまあ似合うのを見繕っときました、てな感じ。心を動かされるものが何もない。
でもヒーロー的な男はかっこよかった。オタクみたいな男も、パターンを外してくるギャグが面白かった。
すごく嫌だったのが、恐竜と心を通わせる的なストーリー。欧米的な動物を安易に擬人化してわかったつもりになってる傲慢さが感じられて嫌な気持ちになった。
死に際の恐竜に優しく声をかけて、「恐竜も命なのね」、と涙を流したり、調教した恐竜に信頼と友情を訴えかけたり。
特に、調教した恐竜が、ボス恐竜に出会って、「会話」して、人間につくか、ボス恐竜につくか葛藤したり、最終的に人間につくことを決めたり、みたいな話は、まるで動物アニメじゃん!と思った。ここまで擬人化してしまったら、もうリアリティはかけらも残らない。
最後に第1作目のTレックスが出てきて、ボス恐竜を倒すとこも、あまりに都合良すぎな展開。Tレックス生き残ったあと、やつも倒さないといけないはずなのに、なぜか皆晴れやかな顔で終わった感出してて意味がわかんない。
恐竜を調教するってアイデア自体は面白かったと思う。でも、彼らと心が通じ合えるみたいな話にするべきではなかったと思う。するとしても、それに説得力を持たせるような描写があまりに足りなかった。
何万人も楽しんでいる客がいる遊園地で恐竜が逃げ出したら、というシチュエーションも、すごく面白いと思うけど、その面白さは十分活かされてなかった。
それは、世界観やストーリーの説得力がなくて、ストーリーのためのストーリーというのがあまりにあからさまだったから。
安全対策が万全で、絶対に危険がない、みたいに思える施設だったのに、全く思いもよらない弱点をきっかけに、人為的な対策のまずさも重なり、大災害に発展してしまう、というのが面白さのポイントだと思う。
けど、はじめから最後まで人間の対策が迂闊すぎて、ここだったら間違いなく災害が起こるよね、と誰もが思ってしまうんで、恐竜が逃げ出したり、窮地に陥ったりしても、起こるべきことが起こったとしか思えない。
結局、恐竜がパニックに陥る人達をバクバク食べる映像が見れたら、それで良かったんかね? 第1作目は、それ以上のメッセージがあったからこそ名作だったと思うんだけどな。
なんとなくすっきりしないザワザワ感が、緻密な概説でほぼ納得、でも共感は7割です。
残り3割ですが、パセリは言い過ぎ、あと、心にもそれなりに色んなことが残りました。