「厳しすぎる選択」ローン・サバイバー harukitaさんの映画レビュー(感想・評価)
厳しすぎる選択
アメリカのシールズが、多勢に無勢でコテンパンにやられてしまう。
厳しい岩場での戦い、崖から転げ落ちる様は本当に見ていて痛々しかった。
結末は題名からも分かる通りで、それを分かった上で観ているにも関わらずこの面白さ(不謹慎な言い方で恐縮だが) は素晴らしい。
選び抜かれた精鋭でも右も左も敵だらけではさすがに厳しすぎる。これは一体どうやって生還できたのか?疑問を抱いて観ていたが、なるほどそういうことだったのかと溜飲を下げた。
本作のポイントとなるのは選択だろう…。
地元の民間人に姿を見られた時点で迫られたあの選択である。
彼らは人道的な、そして勿論自国内の世論を気にしたであろうひとつの選択をした。
私はその選択に賛辞と敬意を贈りたい。
しかしその一方で戦場という非情な状況下でのそれは甘く危険な選択なことも確かだ。それを理解した上での彼らの選択だからこそ絶賛したいのだ。
そしてそんな選択をせねばならないアメリカの言う正義というものを考えてしまう。
そもそも戦場に正義なんてあるのだろうか?あったところでなんの意味もないのではないか?
私には映画を観て考えることしか出来ないが、本作が世に出て残っていくことで、そして我々が彼らの選択について考えることが彼らの尊い命を無駄にしないことではないだろうか…。
正義の名の元に伝統や文化を踏みにじるようなことをするアメリカがその土地の伝統によって救われたというのも、なんとも皮肉な話である。
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