「真実を語るために生かされた男」ローン・サバイバー マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
真実を語るために生かされた男
冒頭、SEALs(アメリカ海軍特殊部隊)の訓練模様が描かれるが、命を賭した職業を選んだ男たちの日課は想像を絶する。任務を遂行するための命懸けの訓練は、強い肉体と精神力を培うと同時に、仲間との厚い信頼関係も生む。作戦の成功のためには命を惜しまないが、同時に仲間を守る、見捨てない強い絆がSEALsの本当の力なのだとつくづく思う。
ちょっとしたアクシデントが命取りになる前線の怖さを、多彩なカメラワークで見せる戦闘シーンは現場にいるようだ。臨場感を出すためにハンディカメラを使ったぐらぐら揺れる画像を見せられる作品がよくあるが、この作品は流れるようなフットワークで岩だらけの戦場に引き込む力がある。CGによるヘリMH-47 (チヌーク)の重量感も迫力がある。
4人の隊員が出会ってしまった羊飼いたち。現在のようにメディアが発達していない時代でも解き放っただろうか? 今は、たとえ戦場であろうと民間人を殺したら、その事実はあっというまに世界中を駆け巡る。そういう意味では、抑制の効いた良き時代だ。
仏心が仇となって神に見離されるが、捨てる神あれば拾う神あり。
自らの命を代償に基地と無線連絡をとる仲間。そして「パシュトゥーンワーリ(パシュトゥーンの掟)」と呼ばれるアフガニスタンの多数派部族に伝わるルールが奇跡を呼ぶ。生還するものがいてこそ真実が語られる。
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