「膨張するX-MENユニバース」X-MEN:フューチャー&パスト 13番目の猿さんの映画レビュー(感想・評価)
膨張するX-MENユニバース
アメコミは同シリーズの別ストーリーを同時に並行して進行させるから物語を把握するのが難いのだと知人のアメコミ収集家が教えてくれたのだが、このX-MENシリーズもまさにそのアメコミの袋小路に迷い込み始めたという感じだ。
とにもかくにもこの映画X-MENユニバースの複雑さと言ったら、一旦シリーズ三作目の「ファイナルデシジョン」で終了したと思ったら前日譚のウルヴァリンシリーズが始まりしかし実はパラレルワールドで三部作とは繋がりがないもののその続編の「ウルヴァリンSAMURAI」は「ファイナルデシジョン」と繋がりのある後日談であり「ファーストジェネレーション」がリブートという名目で作られたのでパラレルワールドかと思いきやしっかり三部作と繋がっていて今回の「フューチャーアンドパスト」ではウルヴァリンの活躍によって三部作の歴史軸が改変されたという、新参殺しも甚だしい作りになっている。
しかし本シリーズの見どころは、とにもかくにも技巧を凝らした超能力バトルなので途中で物語を投げ出してしまうことにはならないはずだ。オープニングに始まる瞬間移動を使用してのアクションやマグニートーの磁力を使った攻撃や工作など、実際にはありもしない力をよくもまぁここまで映像化できるものだと、その製作者たちの妄想力には感心せずにはいられない。また初期三部作で悪の親玉たるマグニートーがどう考えても要介護一歩手前の老人だったのが、前作から美丈夫のマイケル・ファスベンダーになったことでラスボス感が演出されるようになったのも魅力の一つだろう。
なのでX-MENシリーズをいきなり本作から観ようという人ならば、何か未来がやばいんで過去に飛んで手に汗握る能力バトルで歴史を変え、テーマにいたっては決してあきらめちゃダメ未来は決まってないから人の努力次第で未来は明るく切り開ける、くらいということを持ち帰っていただければ十分なのではないだろうか。作品世界の細かいディテールなどある種ファンサービスなので気にしなくてもいいのだから。