「シリーズ同窓会であり、シリーズの新たな環境を奇策で切り開いた作品。」X-MEN:フューチャー&パスト Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)
シリーズ同窓会であり、シリーズの新たな環境を奇策で切り開いた作品。
非常に良かった。
シリーズ1作目の前日譚を描いた「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」。
若き日のチャールズとエリックの出会いと友情、そして決別が描かれており非常に良かった。
その後ローガンの日本ドタバタ珍道中を挟んでの本作。
まさかの「ファースト・ジェネレーション」の続編。
若き日の彼等のその後が観れる、と同時にシリーズの再生が図られており。
(良い意味で)卑怯かつ荒唐無稽な奇策にグッときました。
正直この手があったか、と感心しました。
設定及び話の展開も良かった。
特にシリーズの現在である2023年と話の焦点となる1973年が並行的に描かれる構図は非常に巧かったのですが。
鑑賞後、強く心に残るのはクイックシルバー。
X-MENシリーズの一つの楽しみとして挙げられるのは『ミュータントの特殊能力』。
本作の設定上、既に能力が分かっているメンバーが改めて登場するため、能力面での新たな体験は無いように思われますが。
そのような不安はクイックシルバーが一掃。
登場時間は僅か15分程度でしたが大きな爪痕を残していました。
その印象度合いは映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のマシュー・マコノヒーの如し。
能力自体は奇想天外なモノではなく散々他作品でも既出したモノなのですが。
クイックシルバーの軽薄なキャラ、圧倒的な力。
そして能力を十二分に表現した映像演出。
特にクイックシルバーが大活躍する或る厨房の場面はゲラゲラ笑いました。
流れている73年のヒット曲も含めて非常に良かった。
惜しむらくはクイックシルバーの能力が圧倒的過ぎること。
もっともっと彼の活躍を観ていたいのですが、その能力が無敵過ぎて話の面白さを損なってしまう。
そういう意味では活躍の場が今後限られてしまうことが想定されるため本作でジックリ観ておくべきだと思います。
また「ファースト・ジェネレーション」の続編として話が成立している点も良かった。
60年代の時代背景とシリーズが持つテーマが十二分に活かされた「ファースト・ジェネレーション」。
そこで語られた要素が本作で改めて触れられておりグッときます。
役者陣の演技も良かった。
特に「ファースト・ジェネレーション」メンバー。
ジェームズ・マカボイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンスの繊細かつ若さ故の不遜さが滲み出る演技が良かったです。
十八番である辻褄が合わない部分も…なくはないが然程気にはならない。
…いや、やはり木端微塵になったはずの彼がシレッと復活している点には違和感があるが。
とはいえシリーズの新たな環境を奇策で切り開いた本作。
シリーズを鑑賞した上で観ると、より楽しめると思われます。
オススメです。