「理想事ではなく、被災者と被災地は今も復興の道を歩んでいる」救いたい 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
理想事ではなく、被災者と被災地は今も復興の道を歩んでいる
東日本大震災後の仙台を舞台にした人間ドラマ。
医療センターで麻酔科医として働く妻と、震災後被災地で開業医を始めた夫。
医療に携わる夫婦を軸に語られるが、周囲の人間模様こそ印象的。
妻の後輩の若い麻酔科医。震災で父を亡くしたショックから立ち直れない。
夫の助手の看護師。震災で夫を亡くし、義母と二人暮らし。義母の前で悲しみから号泣するシーンは中越典子の演技も相まって、本作で最も心に残った。
心に傷を負いながらも、被災者と被災地に寄り添い、前向きに生きていく姿、復興への思いを、名匠・神山征二郎が実直な演出で描き、優等生的/模範的な作品に仕上がっている。
…のだが、
全体的に真面目過ぎて、柔和さにも欠け、単調。
仮設暮らし、震災詐欺といった現実も描かれているが、今一つ心に響いてこない。
真実味ではなく、あくまで理想事/綺麗事に過ぎないのだ。
別に合わせて見た訳ではないのだが(本当に偶然)、明日は3・11。
あれからもう8年も経つのか…。
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