幻の薔薇のレビュー・感想・評価
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最初『情婦マノン』を思い出した
単純な個人的物欲の顛末を描いた話では無いと思う。
最初、情婦マノンを思い出した。でも、終わりが現代になっている。それで、アレ!と感じた。人間の欲望の破滅ではなく、
これから社会の行く末をこの監督は描きたかったと僕は確信した。では、何のこれから?
情婦マノンの終わり方を連想して、資本主義の終焉じやないかと感じた。
全ての物をお金に置き換え、社会はそれを元に回っていく。つまり、人間の性がそれに重なると、物欲と言うものが生まれ、終止がつかないまま育って行く。終わりは何処にあるのか?
それは、過去の事ではなくこれからの事。戦後のフランス社会に生を受けた一人の女性の半生を題材にして、資本主義の終焉を描きたかったのでは無いだろうか?道に迷うな姿はまだ終焉は迎えていないのだろう。僕は単純にそう解釈した。
解釈は兎も角、傑作だと思う。
破滅していく結婚生活
破滅してゆく美しい人妻を演じるレア・セドゥ
妻が戦後の混乱や新しい時代のエネルギーに翻弄される中“幸せ”と思われる物に次々と手を伸ばしていくがその“幸せ”こそが幻の薔薇で、
夫が求めた“美しい理想的な妻”も幻の薔薇。そんなあるはずのない幻の「幸せ」を求めた故に破滅していくカップルを説明的な要素を排除して淡々と描いているのでとっても静かな映画だけど、50年代のインテリアやファッションを美しく再現してて目が幸せ。
この要素の少ない映画をレア・セドゥ の存在感だけでもたせてしまうのがレアセドゥ の素晴らしさ。とっても美しいし、ヘアスタイルやメイクもじっくり見れて楽しい。
エンディングで現代に収束していくってゆうのも面白い。
きっと日本でもあった戦後の時代の社会的な共通認識で存在していた“理想の幸せ”
に迎合できなかったからマージョリーヌは次々と物を欲しがって結婚生活を自滅的に破滅させていったけど
その“理想の幸せ”の幻想すら壊れた現代はどうなっていくのかってゆう終わり方でけっこう好き。
レア・セドゥ 見たさにレンタル
私も若い頃。そう十代二十代はクレジットカードの買い物で痛い目にあったかなぁ。
若さは甘い誘惑に弱い。ましてや旦那さんがいたり
祖父が支払ってくれるるとなると金銭感覚一度や二度は狂ってしまう気もなんとなくわかるなぁ〜。
この映画のテーマは金銭感覚の価値観、あとは美しい薔薇には棘があるだと思うが。テーマはさておき本当に美しいレア・セドゥ 。女優さんの美しさをDVD レンタルやお手軽な動画配信サービスなどで見れるようになった時代は逆にお金を使わない時代になった気もするが、兎に角この作品レア・セドゥ を見るだけでも
一見の価値ありオススメ映画。
「物質」が象徴する幸せ
『美しいひと』『美しき棘』で不機嫌な十代を演じてきたレア・セドゥが今作で演じるのは新婚の若き人妻マージョリーヌ
舞台は1950年代のフランス。
若く美しいカップルの船出は、戦後のフランスの新しい時代と重なる、
日本の高度成長期がそうだったように、戦後のフランスも人々が明るい将来を夢見ることが許された時代だったのだと思う。
新しい商品が発売される電化製品、便利なアパート、美しいインテリア。
それは、マージョリーヌの描く“幸せ”の象徴でもある。
一方、レジスタンスの英雄だった夫ダニエルは祖父が残した田舎の家に住み、代々栽培している薔薇の新種を作りたいという男。
二人の思い描く“幸せな結婚生活”は大きくすれ違ってしまった。
レア・セドゥは前二作にくらべると大分様々な表情を見せてくれるが、この人は無表情、あるいはアンニュイな表情の方が断然画になる。
今回も脱ぎっぷりは素晴らしいし(美しい足の裏まで見せてくれる)、50年代ファッション、ウェディングドレス姿も見せてくれる。
レア・セドゥ鑑賞映画に認定!
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