「さすがPCR検査が早い!」FLU 運命の36時間 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
さすがPCR検査が早い!
パンデミックのリアリティを追及するというより、政府やアメリカ批判の作品に仕上がってました。発生源はベトナムからの不法労働者を香港を経由してコンテナ運んだことからでしたが、その中の1人モンサイが生きていた。結局は彼がゼロ号患者であり、危機を救う抗体を持っていたという皮肉なストーリーでもある。
まず恐怖に思えたのが飛沫感染の描写。あ~こんな風に感染していくんだ。と感じる描写が序盤に見られるので、現在のコロナ禍と同じ感覚に陥ってしまいます。鳥インフルH5N1が本来のウィルスであり、コンテナに閉じ込められていた人に感染したため、変種コピーを繰り返していたのだろう。潜伏期間も短く、致死率は見たところ90%くらい。咳を伴っての飛沫感染が主な特徴だが、何しろ急激に増加するため市民が無防備なところを襲われた感じだ。
あっという間に対策本部が開設され、総理や大統領も駆けつける。人口47万の、ソウル近郊の都市盆唐。すぐさまロックダウンされ、アメリカの専門家も参加していくのだ。もっとも注意したいのが、指揮権がアメリカ側に移され、感染者や逃げようとする市民を殺してでも韓国、そしてアメリカを守るという発想。もはや軍隊は市民を監視し、銃殺してでもロックダウンする構えを見せるのだ。
さらなる見所は巨大な穴に死体・・・死体予定者をクレーンによって次々と埋めていき火を放つシーン。もうナチスの収容所を思い出すくらいです。まぁ1時間に市民が2千人ずつ死んでいくのだから、死体置き場も足りなくなる。しかし、まだ生きているのにその墓場に放り入れるのは残酷すぎる・・・
そしてかなりのエキストラを投入した暴動シーン。デモ好きの国民性をも感じるところを見せてくれる。60年代ならともかく、日本ではこんな映像をもう撮ることはできないのだろうなぁ。そして、気になるところはPCR検査で陰性になって48時間経っても自宅に帰さなかった失策。最初からミサイルぶち込むつもりだったのでしょうかね・・・こわっ!
マ・ドンソク登場には驚かされますが、彼は暴動を扇動するようなカリスマ的兵士(?)。結局は自分だけが助かりたいエゴも露呈します。また、主人公の恋する相手の医師にしてもかなり医師の倫理を外れてるのだろうし、結果的に娘にも抗体ができたおかげで正当化されますが、あれがダメだったら大統領も自殺しちゃうでしょ・・・多額の賠償金とともに。まぁ、ゾンビクラスの潜伏期間だし、みんなパニクっていたと思えばいいのか。
レビューをいつも拝見してます。
いつも完璧なレビューなので凄いです。
わたしは知識なく原作読まずで観ているのでレビューが浅いです。
他の皆さんのレビューがとても参考になります。