「福福荘のシュールな面々。」福福荘の福ちゃん ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
福福荘のシュールな面々。
監督が大島美幸のおっさんコントを見たことで生まれた
オリジナルストーリーだと聞いて、俄然観る気が湧いた。
先日観た「小野寺の~」に近い雰囲気かな?と思ったが、
ゆるさではこちらがさらに上。
現実離れしたシュールなネタや、(気になったのは)
刃物がやたら登場する作りに好き好きは分かれそうだが、
その雑然とした雰囲気を纏めているのが福ちゃんの大島。
女芸人がオッサンを演じる、ただそれだけのお笑い作品
と思いきや、彼女が普通に中年男になっているのがいい。
昭和の人情喜劇を観ているような気分になってくる。
中年塗装職人・福田辰男には、過去に女性恐怖症に陥れ
られたトラウマがある。同級生のドッキリカメラ!?に
騙された彼は、初恋相手・千穂(水川)の突然の謝罪訪問に
驚くが、彼女の申し出でカメラモデルをやるにつれて、昔の
恋心がまた芽生えてくる。友人として良好な関係を保つ
二人だが、彼の親友・シマッチ(荒川)は、福ちゃんを結婚
させたくて仕方ない。今まで数々の見合いを設定したのに、
福ちゃんは一向に相手に興味を持たなかったからである。
モテようがモテまいが、初恋の相手となれば特別だろう。
自分を好いてくれる筈はないと思いながら、彼女に協力し、
さらにはアパートのおかしな住人達にも憩いの場を与えて
いるという、これだけ他人の為に尽力しているいい人間が、
どうして幸せになれないんだろうと思えば口惜しくもなる。
でも恋愛は、他人がどうこう干渉することではない。のを、
シマッチを通して痛感させられる。こればっかりは本当だ。
二人の恋愛?がどうなるのかはお楽しみとして。。。
様々な脇役がヘンな役回りで「?」な演技を見せているので、
そのシュールさに呆然としながら小笑いできる。
一押しは(いや、そういっていいものかどうか)
北見敏之が演じる名カメラマン沼倉が…凄~く大胆なのだ!
そして徳永ゆうきの歌声にはどこまでも癒される。
緩いのに鋭い。二面性を備えた面白い作品である。
(例えば真行寺の放つ一言。酷いことをしたら自分もされる)