劇場公開日 2015年6月6日

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「志は好感を持つが中盤以降の失速感が否めない作品。」トゥモローランド Opportunity Costさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0志は好感を持つが中盤以降の失速感が否めない作品。

2015年6月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

単純

人類の未来に対して否定的な要素ばかり取り上げて。
その否定的な要素を乗り越えることに目が向かない。
より良い未来を信じて新たな可能性に挑戦すべきではないか!

本作が語る、この志。
この志自体は好感が持てる、グッとくる。
作中語られる“かつての未来絵図”を体現したトゥモローランドは。
無邪気に未来を信じられた時代が思い出されます。
言われてみれば自身もより良い未来を夢想しなくなったな。
…なんてハッとさせられました。

トゥモローランドまでの道程も良かった。
主人公ニュートンの背景が丁寧に描かれると共に
謎の少女アテナと謎の中年フランクの正体が徐々に明らかになる。
特にフランクのボロ屋で繰り広げられるドタバタ劇。
からのトゥモローランドまでの怒涛の旅行記。
ニュートンの連続する“桃色吐息”も含めて。
中盤の山場までは志同様にワクワクする出来になっていました。

が、中盤以降は急失速。
肝心要のトゥモローランドに行ってからが……雑でショボい。
未来を体現した理想郷トゥモローランドにも関わらず画面が途端に貧乏臭く。
話の展開も途端に雑になり、みるみる興味が薄れていく。

すっかりションボリした所で或る帰結を迎えますが。
概ねハッピーエンドにも関わらず何処か薄ら寒い印象。
余りに小奇麗な世界観は閉じた世界観の幸福感。
……大局的に観ると一種のディストピア感が。
大きく広げた風呂敷が結局は畳み切れなかった感が強く残りました。

志は好感を持つが中盤以降の失速感が否めない本作。

準主役の謎の少女アテナを演じるラフィー・キャシディ。
本作の俳優MVPは彼女。
複雑な状況/設定に応じた演技をキチンと成立させた手腕。
本作を一つの作品として成立させたのは彼女の手腕と言っても過言では無い程に光っていました。

彼女の演技を堪能するだけでも価値がある…と言いたい所ですが。
正直“ディズニー作品”という先入観も含めて好き嫌いが分かれる作品だと思います。
無邪気な未来に何処か懐かしさを感じる方であれば。
オススメです。

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Opportunity Cost