「彼の地は果たして夢の国か」トゥモローランド ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
彼の地は果たして夢の国か
主演ジョージ・クルーニー!監督はあのブラッド・バード!のSF映画となりゃあ、そりゃ観ない理由が思い当たらない一本でしょう。映画好きなら無視できないでしょうよ、と。で、観に行って参りました。
んー。んー、これ、なんていうか、非常に勿体無い出来栄えだなぁと。思ってしまいましたが。率直な感想で。まあ思ったのには勿論ね、自分なりに理由はあるのですが。
うん、うん。面白いんスよ。面白いんですが。うぅーん。
いや。この極端すぎる珍妙なSF設定は楽しいし、それに倣っての荒唐無稽なガジェットの数々はワクワクさせてくれるしね。特に前半の長い尺を取っての「トゥモローランドとは何ぞや?」「トゥモローランドへはどう行けばよいのか?」みたいな展開は、それはそれはおもちゃ箱ひっくり返したみたいでね。あらゆる出来事が矢継ぎ早でやってくるから観てて全然飽きがこないんですね。前半ね。前半までは。
じゃあ!後半か?後半が問題なのか!?一体何が問題なんだ!?てなりますわな。うん。
そうです。後半なんですよそれは。問題はね、その、肝心のトゥモローランドです。
トゥモローランドに行った途端にお話が失速するという。
や、いや、うん。失速というのもまた違いますかね。言い方を変えます。えーと。そう、パッとしません。パッとしないの。
前半で散々提示されてきたような素晴らしいヴィジョンが期待したほど出てきません。そして物語が思いのほか跳ねてこない。前半あんだけアクションてんこもりで力を入れたのに、後半は何故か尻すぼみ。「え?こじんまりしてねえか?」となるんですね。なったんです。
で、これは一体何が問題なの?と考えました。なんでこうなった?と。ま理由は明白でして。面白かった前半なんですよ。大いに問題があった。
長過ぎたんです。
丁寧が過ぎた。作り手としての矜持なのか、あそこまで尺を取りたい部分であったのなら、もういっそのこと、割りきってミニシリーズで全六回程度のTVドラマにすればよかったんです。
ひょっとしたらこの映画、自分の目方がそうだったってだけで、後半尻すぼみじゃなかったのかもしれないんですよ。前半も後半も平等に楽しかったのかもしれない。でもね、自分はそうと感じなかったんです。前半が楽し過ぎて、後半はちょっと話にならないというか。
だから、非常に勿体無い出来栄えだなぁと。ね、なった訳でして。
確かに手堅くまとまってはいます。でもねぇ、手堅さなんて求めてないんですよ。荒唐無稽なら荒唐無稽で突っ走ってほしかったなあ。
いやあ。本当、勿体無い。