「この映画に携わった方々に感謝」チョコリエッタ 虎吉郎さんの映画レビュー(感想・評価)
この映画に携わった方々に感謝
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名古屋での初日に鑑賞しました。
舞台挨拶に来られた風間監督は、飾り気もなく本当に素敵な方でした。
素晴らしい映画です。
その一言につきます。
絵画のような構図にこだわった画面。張りつめた空気感の中で、神経を研ぎ澄まして演技に挑む出演者。確かにストーリーの起伏は小さい。しかし、始まりから、ラストまでピリピリとした緊張感のある画面に、退屈なんてなかった。
スタッフやキャストの方々の、凄まじいほとの熱意が伝わってくるのである。
幼い頃に事故で母を亡くし、十年が経ちさらに愛犬を失って心を閉ざした少女を森川葵が見事に演じている。
両親が離婚して引き取られた祖父への想いを断ち切れない青年を、自然体で取組んだ菅田将暉も凄さを見せつけた。
二人だけではない。共演の全ての方も緊張感を漂わせている。悪い意味ではない。一瞬たりとも、手を抜いていないのだ。
この映画の凄さは、それだけではない。青春時代に誰もが抱く苛立ちや悩みが、画面の中から直接に心に響くのだ。説明的なセリフやオーバーな表現が一つもなくても、主演の二人の姿から青春時代の不安定な心情の揺れが突きつけられる。
映画を観ているうちに、キネマ旬報や映画評論を読み耽り、フェリーニやビスコンティやATG作品を観ていた頃、もう40年近くになる昔の自分を思い出していた。
映画ファンを自称するなら、若者だけでなく中高年の方にも是非とも観て頂きたい作品です。
本当に、この映画を作ったスタッフやキャストの方々全員に感謝します。
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