「残念、途中までワクワク感はあります」キョンシー Arts0001さんの映画レビュー(感想・評価)
残念、途中までワクワク感はあります
まず、ホラー表現は大変良かったと思います。ジャパニーズホラーらしい陰鬱な表現は清水氏の良さがでていたと思います。水の使い方、闇の使い方が不快さや、霊に対する想像力を掻き立てられます。
ただ、登場する怨念を抱いて死んだ女性の霊や、団地の中を徘徊する子供は呪怨でやっていることをそのまま転用しているだけのようにも見えました(それでも十分に怖いです)
肝心のキョンシー要素ですが。
途中までは一定のワクワク感はあります。とにかく最初にでてくる女性の霊が怖かったため、その後の展開も期待させられます。
また、キョンシーを作る際に子供を生贄にしたり、上記した女性の霊がキョンシーに入り込んでしまう。といったキョンシーに怨念を注いで強化していく流れも期待をさせられます。(過去には色々なキョンシーがいたため、そこで個性や魅力が出せていると感じます)
過去の作品ではコミカルで武芸に通ずる弟子がいたり、仲間のキョンシーを操作したり、道士としてできることが多く一定の安心感がありましたが、今作では『そこら辺のおっさん』感が強く、そこに絶望を感じさせられずにはいられません。
といったところまでが面白いところです。
この作品は上記したワクワク感とは反比例してバトル要素は薄いため、なんだか高まった気持ちをどこに持って行けば良いのか分からなくなりました。
最後の戦闘シーンは中途半端な格闘と、普通のCGで表現しておりあまり見所はないです。
結局のところ、ホラーをやりたかったのかキョンシーをやりたかったのか中途半端な作品になってしまっている感があります。
ホラー表現が良かっただけに、じゃあ最後まで霊的な何かで表現した方がまだ良かったのでは無いでしょうか。
そしてオチが信じられないくらいダメでした。あのオチを入れると、この映画で何を表現したかったのかますます分からなくなりますね。
キョンシー映画は夢か幻で、もう観ることはできないんだよ。というメッセージだったのでしょうか。
以上の理由で星二つです。