「刹那的な愛、熱く、儚く、美しく。」アデル、ブルーは熱い色 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
刹那的な愛、熱く、儚く、美しく。
高校生のアデルと青い髪の大学生エマの愛を描き、2013年度のカンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた話題作。
レズビアンカップルの同性愛と言ってしまえばそれまでだが、単にそれだけとは言い切れない。
冒頭、視線が合い、一瞬で惹かれ合う感情の定義から始まる。
つまりは一目惚れではあるのだけれど、そんな男女間のロマンチックなものではなく、瞬く間に火が付くような愛の形。
この直後、アデルは交差点でエマと一瞬視線が合い、心奪われ、そして情熱的な愛を欲するようになる。
この出会いのシーンだけで、本作がロマンチックな恋物語とは程遠い、刹那的な愛の物語であると印象付ける。
アデル役のアデル・エグザルコプロスは個人的には初めましてだが、現在20歳ですでに9年のキャリアだと言う。最初、ボサボサ頭で垢抜けないごく普通の高校生だった彼女がエマと出会って、少しずつ洗練されていく様も魅力的。
“静”のアデルに対して“動”のエマ。演じるレア・セドゥーはセクシーでキュートな印象だったが、ボーイッシュな格好良さ。「ボーイズ・ドント・クライ」のヒラリー・スワンクを思い出した。
話題になったのが、主演二人によるラブシーン。
確かに濃厚ではあるけど、言うほどでもなかったような…?
もっと全てをさらけ出すような生々しい絡みだと思っていたので、ちょっとインパクト不足。
しかし、体を張ったプレイには拍手。
3時間の長尺をじっくり見せたアブデラティフ・ケシシュ監督の演出も見事。
本作は、二人の出会いと愛と別れまでの話。
二人の距離が擦れ違い始めた時の、エマの髪の色の変化にも注目。
激しく燃え上がった炎はあっと言う間に燃え尽きる。
刹那的な愛の形は、熱く、儚く、美しく。
追記:見たのがレンタル版だったので、超絶性交シーンはカットされてたとか。残念!