劇場公開日 2014年4月5日

  • 予告編を見る

「うまい!でも、まあうまいけど。」アデル、ブルーは熱い色 lotis1040さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5うまい!でも、まあうまいけど。

2014年6月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

興奮

うまい!と思った。いろんなカットのカメラ割りなどすごい。画面の使い方がものすごくうまい。
そのシーンの殆どがアップのシーンだから引きのショットがものすごく活かされるし、そのアップも微妙に使い分けてて、今一番身近に置きたい人をより大きくする。だから、エマが出てくるまではアデルがほとんど一番大きく映されているが、エマ登場からは二人の大きさがほとんど同じように映されている。
人間は画面の左側にいる人間に対しては親近感を抱き、右側は離れた存在として感じるらしいが、カメラ位置を動かすことによって微妙なその辺で人間の機微を描こうとしていることに感銘を受けた。
特に終盤ででてくるシーンはとてもよかったので必見。

そしてカメラで言えることは、この映画のものすごく肉感的な印象だ。どんなシーンをどんなカットを見ても肉々しい。
演出もそうだが、カメラのせいもきっとある。
この映画はおそらくデジタル撮影なのだろう。今までデジタル撮影には否定的だった私だが、この映画のデジタルはあり!
マジでアリ!
フィルムは綺麗だが、綺麗過ぎて夢を見ているような気分になる。
デジタルなら、そこはもう少し抑えられていて、より現実味のある映像が出来上がる。

デジタルってこういう使い方があるんだと初めて感じた。

もちろんこの映画に言いたいことが無いわけではない。
カンヌが絶賛したというセックスシーンは確かにとても生々しいものであったし、色加減もなんだかとても美しかったけれども、この感じを日本人はもう既にAVで体験済みで、カンパニー松尾などはこれくらいのトーンのものを作っているように思う。
そして、その焼き直しくらいにしか思えなかった私は寝てしまった。

好き嫌いで言えばエマというキャラクターについても独善的であまり好きではない。
自分を認めてくれそうな人のことを天才と呼んでしまう辺りとかなんだかうわーってなって、女のいやなところを見た気分がした。
嫌な部分を見た感じがしたのはアデルも嫌な感じがするシーンはあった。
まあ、その辺は演出がとてもうまいのだと思う。

ただ、まあこんなもんじゃないんですか感は否めない。
風立ちぬの方が個人的にはずっと好み。

lotis1040