「せつない。。。」アデル、ブルーは熱い色 mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
せつない。。。
普通の民家から、これまた普通の女の子が出てきてやってきたバスに乗り込もうとする。
そんな何気ないシーンから始まる本作。
高校生アデル(アデル・エグザルコプロス)のそれこそほんとに何気ない日常が、淡々と語られる。
学校で特に問題児というわけでもなく、親と折り合いが悪いわけでもない。
ただ、淡々と過ぎ行く日常に少し物足りなさを感じていたのかもしれない。
そんなとき、エマ(レア・セドゥー)と出会う。
アブデラティフ・ケシシュ監督は、アデルとエマのセックスをかなりしつこく描写する。それもおざなりの美しいだけのシーンではなく、なにをどうしてるのかわかるようなシーンになっている。
本気とはこういうことをいう、とでも言いたげに。
だが、このシーンがあるから、のちのアデルの失意が観る者の身に迫ってくる。
エマに罵倒され、いっしょに住んでいた部屋から追いだされ、なきじゃくりながら街を行くアデルの姿には、本気で人を好きになったせつなさが伝わってくる。
男と女の話だったらここまで身に迫っただろうか。性差には幾ばくかの打算がつきもので、それでも世の人々は打算を打ち消しながら愛を語っている。
女同士の恋愛をここまで描いた功績は、やはり大きい。
アデル・エグザルコプロスは長尺の本作で出ずっぱりで、様々な表情を見せてくれる。高校生から教師まで、彼女が役柄といっしょに成長したかのようであった。
カンヌ映画祭と久々に相性が合った。
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