劇場公開日 2014年4月5日

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「愛は性の垣根を超える」アデル、ブルーは熱い色 ホーリーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0愛は性の垣根を超える

2014年4月21日
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鑑賞方法:映画館

知的

「愛は性の垣根を越える」とはアデルがクラブで話しかけられたゲイのおっさんの言葉だが、この映画はゲイカップルという関係の特殊性、或いは社会的な迫害や差別の対象としての同性愛ではなく(同性愛者のデモ運動の描写はあるにせよ)、相手を求め相手からも求められることの幸福や快楽という、極めてプリミティブで普遍的な愛についての物語だった。
同性愛という要素はむしろ、2人の関係性のイノセンスを際立たせている。
周囲や世間一般の不理解というのは往々にして、当人たちの感情を特別化させる要因となる。
古いフランス映画『シベールの日曜日』における男性と少女の親子とも恋人とも形容しがたい関係性のように、当人たちだけが理解し合える世界というのは、秘匿的だからこそ輝いて見え、そして、切ない。

お互いを貪るような長尺のセックスシーンはプリミティブな衝動の表象であり、また、ややもすれば不幸な未来を予兆する刹那的な危うさを感じさせる。
この映画における愛は肉欲でしかない、といった批判の存在を想像するのは容易い。
しかし「それの何が悪いのだろうか」という気持ちにもさせる豊かなリリシズムが、この映画には感じられた。
主演2人の表情の演技はとても印象的だったし、セリフの掛け合いも小気味良い。
アデルとエマの関係性、殊に嗜好が食い違おうとも互いを受け入れ認め合えるような精神性は、自分にとって愛のひとつの理想像だ。

ホーリー