「アデルとエマは、考え方も感じ方も、対極的だ。ふたりの対話でもそれは...」アデル、ブルーは熱い色 imymayさんの映画レビュー(感想・評価)
アデルとエマは、考え方も感じ方も、対極的だ。ふたりの対話でもそれは...
アデルとエマは、考え方も感じ方も、対極的だ。ふたりの対話でもそれは強調されるけれど、ふたりの親を交えた食事で、それは、どうしようもないくらい顕著に表出する、育ってきた環境が、根底にある生き方が、積み上げてきた人生がまるで違うのだ。安定を重んじる生き方と、感覚的な生き方と。
ふたりは、真逆の性質を持っているから、いつかは限界がきて、別れなければならなかった、というよりは、真逆の性質を持ち合わせていたとしても一緒にいることができた、奇跡的な時間だった、というほうがしっくりくる。なにもかもが、対極的だけど、それを無効化するほどの愛が、ふたりのあいだには、たしかにあった。
もちろん、真逆の性質を持ち合わせていたとしても、それを乗り越えるチャンスはいくらでもあった。だけど、エマが「才能があるんだから、何か書けばいいのに」とすすめても、アデルは書いてみようともしなかった。
エマの新しい恋人は、エマと似たような性質を持った人だった。アデルとエマは主に肉体的に愛しあったけど、エマと新しい恋人は、感覚的な部分で精神的に繋がっていた。「セックスは?満足してる?」というアデルの問いかけに対するエマの答えは「あんたとは違うの」。この言葉は、セックスのことだけじゃなく、すべてだった、ような気がしている、
エマの展覧会で、ふたりはまた再会するのだけれど、アデルは改めて、ふたりの生きている世界がちがうこと、感じている世界がちがうことを突きつけられる。滞在時間は短め。あの空間はエマにとっては楽しい場所で、アデルにとっては居心地の悪い場所だ。ひとり歩き去るアデルの後ろ姿はなんだか吹っ切れたように見えた、きっと、ふたりの人生は、二度と、交わることはないだろう、
メモ✏️
・好きなシーン
ふたりがまだ肉体的な関係を持つ前に、公園の草原で「気持ちいいね」とふたりで寝そべっているシーン
・この映画のレアセドゥがいちばん好み、ショートカットがとても似合う