「娘たちよ、一途に苦しめ、泣け、悩め。」アデル、ブルーは熱い色 きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
娘たちよ、一途に苦しめ、泣け、悩め。
僕自身が男兄弟で育ったせいで、わからない女達の生態が僕には更にわからないのだ。
離れて暮らしている我が娘、(愛娘と思っているのだが)とんと連絡をよこさなくて。
アデルとエマと・・
なるほど、いま彼女たちは10代から20代に向けてこのような日々を送っているのだな。
男親である僕に関心を示さない彼女たちは、いま
卵を割って命がけで外界に出ようとする雛鳥、はたまた
土から這い出で、サナギを脱ぎ捨てる夜の間の幼虫の苦しみ、
そして一か八か親元を離れて、新しい人生を見つける冒険の途上。
了解だ、
娘たちよ、好きに生きなさい。
・・そう思った鑑賞後感です。
どんな土壌(家庭)で生まれて育ったかはひとつのバックグラウンドではあるけれど、そこから脱出して飛んで行く先を見つけるのは新しい命たちの仕事ですから。
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火花を散らすエマとアデルは好演でしたねー
エンドロールではキャリア上格上のエマ=レア・セドウが名前は先に書かれていて、それは素晴らしい演技力だけれど、後半はアデルが追い上げてレア・セドウを食い、見事にプリマドンナを演じる、そんなアデルが見事でした。
演技ではないように179分演じるって、地味で目立たないけれど凄いことですよ、
文学の授業、哲学の授業、フランスの教室を覗くのは面白かったな、
で、高校の廊下で歩き続ける顔のアップがとても良かった。
原題は「アデルの命」ですもんね。
人間って、輝く時、ろうそくのように我が身が燃え、火打ち石のようにぶつかり合って身を砕きながら、その時閃光を放つんですね。
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