「20世紀を生き抜いて」エレニの帰郷 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)
20世紀を生き抜いて
現在と過去を交互に描きながらエレニを含めた三人の過酷な運命と今を生きる子と孫の三世代を奇妙にも思える時間軸の唐突な変動に戸惑いながら、登場人物それぞれの感情が哀しくも最後は幸せに満ちてゆく。
時代背景やセリフでの説明を極力排した演出描写、エレニとヤコブ、スピロスの関係性と今を生きながら破綻している家族三人の物語を、静かに優しく時に不親切ながら難しくも魅入ってしまう感覚に。
孫であるエレニの部屋の壁全面に貼られた無数の映画や役者にミュージシャンなどの切り抜きやポスターがセンス良過ぎで、それだけでテンションも上がる。
恥ずかしながらテオ・アンゲロプロスを知らずに今まで、全作品を観てみたいと好きな映画監督がまた増えてしまった喜びはありながらも、若松孝二と同じように逝ってしまった驚きと無念さが残念でならない。
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