「砂漠で宇宙船フィッシング」リディック ギャラクシー・バトル 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
砂漠で宇宙船フィッシング
知らない方もいると思うので老婆心ながら書くと、
この映画、いちおうシリーズ3作目である。
1作目はSFサバイバルホラーアクションの『ピッチ・ブラック』。
2作目はSFアクション大作の『リディック』。
監督も同じくデビッド・トゥーヒー。
2作目までのあらすじを簡単に説明すると……
『全宇宙で指名手配されている悪人リディックは、
生まれつきの暗視能力等を使って未知の惑星を生き延びた後、
なんやかんやあって独裁政権の王様になりました』
……まあ端折(はしょ)りすぎだけど、それだけ知ってれば
本作を観る分には困らないと思う。多分。
* * *
ピカピカの近未来ではなく、使い込まれて薄汚れたような
アイテムの数々(巨大トラバサミ!)、多めの残虐シーン
や、親近感を覚えるキャラが割とアッサリ死んじゃうなど、
ゴツゴツしてドライな世界観は過去作同様だ。
リディックがその高い身体能力と悪知恵(?)の数々で
窮地を乗り切る姿や、彼の皮肉っぽいユーモアも健在。
1作目は小品ながら色んなアイデアが光る佳作だったが、
2作目は風呂敷広げすぎて安めのスターウォーズ的な出来に
(あるいはやけに雰囲気の暗い『ジョン・カーター』とか)。
それを反省したのか、今回はやや1作目に近付いて、
サバイバル感を前面に押し出した映画になっている。
序盤で主人公リディックのサバイバルを、
中盤で主人公を追うバウンティハンター達との戦いを、
終盤で全員でのサバイバルを、といった具合。
モンスターホラーとSFアクションを一緒に楽しめるおトク感。
荒れ果てた砂漠の惑星の風景も(デジャヴは覚えつつも)
美しいし、バウンティハンター達の個性もそこそこ出ている。
* * *
けどまあ、中規模作品なので過度の期待は禁物です。
『ギャラクシー・バトル』とかいう小学生が喜びそうな
副題(邦題だけ)ほどのスケール感は無い訳で、
わりと楽しめる映画だとは思うが、「ここは他作品より
ズバ抜けている!」という見せ場はあまり無い。
モンスターのデザイン(『トレマーズ2』の怪物に尻尾
くっ付けたようなヤツ)にももっとインパクトが欲しかったし、
クライマックスも「いやいくら何でもそこで徒歩は……」
とか「あの怪物、多いのか少ないのか分かんないな」とか
けっこうツッコミ所が多くなる。
それに、リディックがいちいち決め台詞を吐こうと
する点を含め、彼を過剰にヒロイックに見せようとする
演出が若干めんどくさい(笑)。
「こいつは神様の手にゃ負えねえぜ……」なんて
カッコつけてる暇があったら早よ動きなさい。
* * *
劇場CMで主演のビン・ディーゼル本人が
「2014年に1本映画を観るなら『リディック』だぜ」
と言っていたのだけど、他にも映画は沢山あるので
じっくり選ぶ事を僕は勧める(笑)。
シリーズやビン・ディーゼルの大ファンならそれもアリかなあ。
<2014.03.08鑑賞>