「やはり映画は女優でキマる」ザ・イースト マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
やはり映画は女優でキマる
FBI捜査官ジェーン(偽名:サラ)のブリット・マーリングがいい。
環境や健康に被害を与えながら、その事実をひた隠す大企業が標的とはいえ、その報復は企業のトップたる人間に対して行われる。「イースト」の過激な報復手段に反発を見せながらも、徐々に彼らの理念に心が傾いていく自分に戸惑いを見せるジェーンの葛藤が丁寧に演じられる。
もうひとり、自分たちの行為を正当なものと、一切の妥協を取り払ったブレない女性メンバー、イジーにエレン・ペイジがよく似合う。ペイジが放つ意志の強さが脇目をふらないイジーに乗り移ったようだ。
ジェーンの上司、体制派につくシャロンもまた妥協なしで「イースト」の面々を追い詰める。冷徹で頭脳派のシャロンには大好きな女優のひとりパトリシア・クラークソン。
この作品、三角構図の頂点にそれぞれの女優が立ち、登場人物としてだけでなく演技に於いても互いに一歩も譲らない面白さがある。
『目には目を、歯には歯を』という報復の繰り返しにどうピリオドを打つのか、ジェーンの正義感を大袈裟にはじけさせず、心地よく締めくくる。
一方で、サスペンスものとしては、主人公を窮地に追い詰める工夫がやや物足りない。
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