劇場公開日 2013年11月2日

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「愛嬌のあるモンスターたち」武器人間 Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5愛嬌のあるモンスターたち

2024年5月12日
Androidアプリから投稿

武器と人間(基本は死人)をくっ付けて武器人間を作ろうなんて、狂気じみたナチス・ドイツ政権ならやりかねないが、本作はそんな物をたっぷり皮肉った痛快ホラーである。ホラーと言っても怖い描写よりかは残虐描写を存分に登場させた悪趣味なエンターテインメントであり、もちろん一緒に観る人を選ぶ映画で、デートムービー扱いの緩いホラーとは訳が違う、ハマる人にはハマる究極の作品だ。

およそ俊敏とは言えない動きのモンスターらは、口がドリルになっていたり、両腕が巨大バサミだったり、頭がトラバサミだったりなど、怖さを通り越して愛嬌すら感じてしまう。
個人的には頭に両翼機のプロペラが装着されたずんぐりむっくりな個体が好みだ。登場シーンは少ないものの、のそのそと動く姿は印象深かった。本作では少し前に大流行したフェイク・ドキュメンタリー形式を使っており、全編POVとなっているのが特徴だが、POVだと対象物がはっきり映らないというデメリットがある。しかし本作ではちらっと写る中でも印象的なキャラクターが多かったため、上手く特徴が生きている様に感じる。

そんなキャラクター愛に溢れた作品だが、ドイツ、ロシア語圏にも関わらず何故か皆英語で話していたり、ストーリーはあって無いようなものだったりなどツッコミどころは多い。だが思わず笑ってしまうような人体破壊描写など、怖がらせたいのか、笑わせたいのかが分からない映像の数々は一見の価値ありだと思う。メジャー映画を見飽きたと感じた際はぜひ。

Mina