THE ICEMAN 氷の処刑人のレビュー・感想・評価
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家族の本当の願いとは・・・
家族思いのパパが実は殺し屋だったという本作ですが、家族とのシーンはそのほとんどが主人公(父親)の主観で描かれ、家族が主人公に対してどのような想いを抱いていたのかは具体的に語られていません。
お金をたくさん稼いできて、おまけに家族の時間も作ってくれる父親には、何の不満もなかったのでしょうか。
収入とかそういう類の話ではなく、嘘偽りない間柄でいることが家族にとっての幸せですよね。
隠し事をせず正直に話してくれと妻から問い詰められる主人公を見ていて、嘘でつかんだ幸せはとても脆く、最終的には家族も自分も苦しめるのだと感じました。
すごく面白かった
日常の地つなぎの先に殺し屋がいることが、普通のトーンで描かれているところがすごく面白い。主人公の性格がサイコパス気質であるように描かれてもいるのだが、しかし、それにしたってそれほど極端ではなく、日常に割といる感じの程度なところがよかった。
結末まで警察の動きが全く見えないのは、主人公の目線の行き届く範囲で物語が描かれていたからであろう。そんなところも安っぽくなくてよかった。
人を殺すことよりもお金がないことや家族に白い目で見られることの方が重要なポイントであるところも面白かった。職業として割り切っていたのだろう。
これが真実の話とは!
テレビでも、このアイスマン、ククリンスキー当人のインタビューが流れてて、それを見た後なので、興味深く観れました。
裁判で証言する直前に、獄中で謎の死、さらには、彼を雇ったマフィアも殺され、真相は闇に葬られたという謎だらけの事件。
殺人と家族愛は同じ感情の発露の違い
クリス・エヴァンスのチャラ悪党に始まりジェームズ・フランコやスティーヴン・ドーフのチョイ出演など本筋と関係ないところが無駄に楽しい(笑)
あ、もちろんマイケル・シャノン七変化も(笑)
真面目に評すると、家族への深い愛情もなんだか一般的な愛情を越えていて、執着や固執のレベルに近くて、僕は殺人と家族への愛が、まったく違う感情の元にあるのではなく、非常に近しい感情が表出の段階で異なった発露をした程度にしか感じず、殺人と家族がギャップというより、むしろさもありなんと思ってしまった。
この男は逮捕されなければ、いずれ家族を殺していただろう。そう匂わせる場面もたしかにあるし。
愛情の屈折っぷり。
200人も人を殺したプロの殺し屋の話です。逮捕時まで家族には知られていなかったのがすごい。人は仕事として殺し、良心の呵責は一切感じない。これだけ聞くとただのサイコパスじゃないかと思いますが、この主人公の面白いところは、家族を心から愛していることです。なぜこういう心理に至ったのか考えたのですが、彼の妻と娘たちの、穢れを知らない、純真で、無知で、無力で、世間知らずな人間性を観ていて合点がいった気がしました。
たぶん彼は自分の理想の楽園を作りたかったんですね。苦しみも穢れも何もない、自分の分身の、美しい彼女たちが住む彼だけの美しい世界。それを守るためにはどんな犠牲もいとわない。幸い(?)良心の呵責に鈍感で優秀な殺し屋だったために、その利益をすべて楽園のためにつぎ込んだ。娘たちを修道系の学校に入れたりしたのもそういうことなのかと思います。最後の彼のコメントで、悪いことをしたのはわかっているけど、間違ったことをしたとは思わない、といった内容はその辺からくるんだと思います。たぶん。
何を隠そう僕自身変人で、自分の猫しか愛することができない人間です。(いや、もちろん親兄弟、嫁も愛していますが、本当に心から自分が素直になれるのは、僕の猫の前だけです。)なぜそこまでその猫を愛するのか、自問してみたんですが、おそらくその猫は僕の子供時代の性格と瓜二つで、まるで自分の美しい部分だけを抽出した分身のような存在だからなんだと思います。彼には世の中のつらいことなど知ることもなく、純粋に、無垢なまま、愛情だけを知っていつまでも生きていてほしいと思っています。こういうことを他人が聞いたら病院に送られてしまうので、誰にも言いませんが。。。たぶん主人公もそんな気分だったんじゃないでしょうか。
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