銀の匙 Silver Spoonのレビュー・感想・評価
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いい映画でした!
誠実に作られたいい映画でした。
原作漫画の要素を汲みつつ、吉田監督のテイストで仕上げられた、青春映画です。
予告ではコミカルな面が強調されていますが、作品はとても真っ直ぐで真っ当。
もちろんクスっと笑えるシーンも随所にあるのですが、見ているうちに、だんだんと映画の世界に引き込まれ、計らずも泣いてしまう…そんな映画です。
若い俳優陣の感性をそのまま映した絵が、瑞々しくさわやかです。
一番象徴的なのは牛の出産シーン。
役ではなく素の若者が、出産をじっとみつめている。
酪農家の息子なら子供の頃からもう何度も見ている光景のはず。でも、吉田監督は「後ろの二人は興味無さそうに演技して」などという指示を出さない。
都会生まれの俳優やスタッフたちが、目の前で起こることをただ見る。
そこには演技ではない空気がある。
それをそのまま映す。
そして映画を観に来るほとんどの客もまた、酪農家の子女ではない。
だから観客の目線は彼らの目線と同調する。
こうした演出の積み重ねが、自然と観客を作品世界に引き込んでいく。
動物と10代の俳優を中心にカメラは回るので、ごまかしが無い。馬はヒロインに本当になついているし、主人公がカメラ側へ歩み寄っても後ろで馬がずっと彼を見ている。
そういう、優しく誠実な空気の中で、高校生のぎこちない友情やほのかな恋愛が描かれる。
だから、見終えた後はとても清々しいのです。
原作ファンとしても、大満足の映画でした。
台詞の組み換えや実写エンドへのストーリー変更などは当然ありますが、原作漫画へのリスペクトは随所に感じます。
たとえば「ポアンカレ」Tシャツ。
たとえばエンドロールの「痛そりデザイン」
たとえば、そこは重機を使えよ、という原作改変のあとに、開拓民の誇りの話を出すところ(百姓貴族も読んでいますね)
何より、こんな地味なテーマを、全国公開規模の映画に仕上げてくれたことに、感謝です。
まだ「さんかく」までの実績だった吉田監督に白羽の矢を立て、見事に適任だったこと。
ジャニーズアイドルの夏を丸ごと拘束して十勝ロケ。
アニメのフジと映画のTBSで、局をまたいだタイアップ宣伝。
本当にありがたいです。
爽やかな青春映画です。
怒涛のスペクタクルもハラハラドキドキの冒険も誰かが死んじゃう悲劇も無い、穏やかで薄味の映画だけれど、観た後は心地よく、そして少し優しい気持ちになりました。
薄味で食い足りない。「ふーん」と思って終わる。
「恋愛も友情も、親との葛藤もあって、ユーモラスでウエルメードな作り。でも、薄味で食い足りない。「ふーん」と思って終わる。」という毎日新聞の映画評通り、さらりと終わる作品でした。『ばしゃ馬さんとビッグマウス』毒気のある登場人物同士のぶつかり合いを描いてきた吉田監督にしては、毒気のないところが気になります。
もちろん主人公の八軒を原作以上に、現代の都会暮らし青年に近づけて、等身大で描いているところはいいと思うのです。でも、原作の八軒というのは「バカヤロウ、肉は正義だ!」と雄叫びをあげて、クラスメートの先頭に立っても並々と肉が盛られたスカイツリー豚丼に突進していく肉食男子の激しい一面をもった奴。もし監督が『土竜の唄』の三池監督なら、もっとゴツゴツした肉食男子ぶりが強調されたことでしょう。何となく、草食男子でなよなよしている八軒の都会っ子ぶりのほうが強調されてしまいました。
もう一点気になることは、家畜との向き合い方、個人農家の苦境に八軒父子の確執まで、欲張りすぎて深みがもう一つ感じられませんでした。
主人公の成長物語に絞りながら、酪農家のやりがいや経営的な苦労、そして精魂込めて育てている家畜に対しての愛情と、同時にやがて訪れる出荷時での「経済的生産物」としての割り切り方の描写については、原作のエッセンスをうまく抽出しているとは思います。そして八軒がリタイアした受験戦争やその後の競争社会と、結果が全てという家畜の世界が重なって見える対比も面白いと思えました。さらに食肉解体場面をギリギリまで見せ、家畜の命を巡る現場をキチンと描かれているところにも、酪農の現実を逃げることなく見せてくれたと思います。けれども、それらをトータルでつないだとき、中途半端さを感じてしまったのです。例えば、クラスメートの駒場の実家の借金が原因で離農することに巻き込まれて、アキも可愛がっていた馬を手放さなくなったときも、割と淡々と描かれてしまいました。
現代の酪農の問題にも例えば牛乳の単価が1リットル87円にしかならなくて、これではえさ代を払ったら、利益にならないというような切実な問題にも触れてはいます。でも
実際の酪農家の実態はもっと深刻で危機的な状況にあることまでは深追いしません。
またそんな危機にあって、原作では八軒も悩み、「豚肉ファンド」を立ち上げるなど酪農の未来を変えようとするところまでは踏み込みませんでした。
くわえて、ヒロインのアキとの関係も友達以上・恋人未満で、ラブコメまで踏み込みませんでした。だから、見終わったとき何が伝えたかったかということが、いろいろあって印象に残らなかったのです。あくまで続編前提で作られているところがアリアリなんですね。
それでも演技面では、八軒を演じる中島健人の主人公の成長に合わせた表情の変化にメリハリを利かす演技は、良かったです。中高一貫の進学校から、いきなり農業高校の畜産学科に、何も考えずに進学してきた八軒の戸惑いぶりから、次第に酪農に本気になっていくところには、説得力のある演技でした。ジャニーズのアイドルとしての普段からの冴えない変身ぶりも凄かったです。
またそんな八軒を支えて、酪農や馬術に本気にさせるアキを演じるは、広瀬アリスはヒロイン役にふさわしく、可愛さが際立っていました。中島のほか、同級生役にも存在感があり、中村獅童、石橋蓮司、西田尚美らが要所を締めます。実力派の脇役が揃っているため、ギャグもばっちりで思わず笑えるシーンも満載。これなら原作を知らずとも、肩に力を入れずに楽しめることでしょう。
もう一つ本作を評価したいところは、酪農高校の日常のリアルティにこだわっているところ。いかにも農業とは無縁そうな若手俳優が、堂に入った手つきで牛の肛門に手を突っ込んだり、乗馬も障害までこなすところは、何気なく撮っているけど、慣れるまで大変だっただろうと思います。特に広瀬は、クライマックスのばん馬レースも迫真の演技で実演して見せました。ばん馬はサラブレッドの2倍近い大型馬なので、演じている広瀬も怖かったでしょう。
要所に挿入される酪農高校周辺の風景も雄大で、彼らの奮闘ぶりに華を添えていました。でもちゃんと青々と茂る草木に家畜の排せつ物が写っているんですねぇ(^^ゞ
最後に、酪農高校っていいなあと思ったのは、ベーコンの調理など自分で大量につくって、クラスメートと一緒に校庭でがっつくこと。あんな感じで大勢で食べるとおいしさも格別ですね。八軒が作ったベーコンは、可愛がっていた「豚丼」というブタのなりの果てで、そう簡単に割り切れるものかと思ったのです。可愛かったブタでしたからね。でも、作っているときは、ベーコンの香りがスクリーンから伝わってきて、お腹がぐぅとなりました。人間って、残酷な生き物ですね(^^ゞ
d=(´▽`)=b
全体的に、和む感じです!笑
少し、グロいシーンもあったけど、、
なんとか大丈夫でした!!
笑えるところがたくさんあって
5分に一回は声に出して笑ってしまいました(・・;)笑
感動あり、笑いありです♪
景色や、動物などにも癒されます!
心のリフレッシュをしたい方にオススメ!
出されたものを食べてるだけの現実だと
原作は途中まで百姓貴族を読んでいたので、ただ笑える,感動だけではないだろうと思ったら、どんぴしゃという感じです。
主人公が育てた豚に対する気持ちに周りの生徒達はクールで冷たいとも思える言葉を発しますが、それらは環境からくるものです。
割り切って感情を捨てている訳でもありません。
農業や畜産というものに関わる事がない人、その世界を知らない人は、この映画を観たとき、多少なりとも驚いたり,感心したりすることがあると思います。
豚や牛の一頭の肉、牛乳一リットルの原価がどれだけ安いのか。
それを作るために努力している人間。
金を出して食べる側の人間。
いつも食べてるものを見て,こんな事を考えている人は、あまりいないと思います。
野菜しか食べないベジタリアンだからとか、普段から肉や野菜あまくり食べないという人も、この映画を観て、供給者である農家、それに携わる側の事を少し考えることができたらいいのではと思います。
主人公が受験戦争のプレッシャーに負けて親から期待しないと,冷たく突き放されたとき。
成績の悪い馬や鶏ガ食肉にされたとき、借金だらけの牧場経営が成り立たなくなってしまったとき。
人間は家畜みたいに逃げ道がないわけではない,逃げるのは悪いことではないという中島先生の(中村獅童)の言葉には納得しました。
仕事で行き詰まって、学校の成績がよくない、虐められる、実社会でも理不尽なこと、納得いかないこと色々とあります。
銀の匙、タイトルとその意味に、最後ああそういうことかと納得できる内容です。
好きな俳優や役者さんが出ているから、農業や畜産って゛とんなものって思ったり興味があるなら観てほしい内容だと思います。
サブキャラがいい
原作は漫画もアニメも一切見ていないので、単純に映画としてみました。
まあ、おもしろいです。
子供に見せたいなと思う映画です。
ただ、主役があまり。なんか、賢そうにもしょぼそうにも見えない。
でも、サブキャラ達はそれぞれ個性が光っていて面白かったです。
あ、校長も残念な感じでしたが。
漫画をきちんと読みたいなと思いました。
中途半端
八軒のネガティブさも、断れなさも、おせっかいさも、頭の良さもすべて中途半端に描かれていて残念でした。
原作を読んでいて印象に残っているのが「食事」のシーンだったので、たまごかけご飯やピザを作るシーンなどを期待していました。
しかし、ことごとくカットされていたのも残念。。。
ラストも、結局八軒は何一つ成長しないまま終わったような描写だったので後味が悪かったですし、駒場も「甲子園」という単語が出てこなかったので突然退学した印象でした。
原作が好きすぎて、ハードルを上げて見ると損をする映画です。
…ただ、サブキャラの完成度(富士先生やタマ子)が高かったのですぐ馴染めました。
青春だな〜、と。
青春だな〜、て感じでした。
親の期待に沿えずに進学校から家を出るために全寮制の酪農高校に進学。逃げた先も現実には厳しい酪農稼業。まあ、そこでいろいろあって若い人達が成長していくわけだけど、逃げた先でも良いことにめぐり合えればそれでいいじゃないかってのがいいですね。
出演者はみなセリフ短め。それでも、それぞれの気持ちがこちらに伝わってきたのも良かったです。
サラリーマン家庭も酪農家庭もどこも辛いことはいっぱいあるけど前向きに進もうってのも良かったです。
吹石一恵と上島が意外にめっけもんでした。
配役、脚本共に20点
富士先生以外は全てミスキャスト。脚本も色々詰め込み過ぎ、且つ平凡な内容。
褒められるところを探すのが困難な、有る意味珍しい程の不出来。
原作が余りにも可哀想と思う程、何しろ残念な出来の作品です。
いろいろ詰め込みすぎた。
原作は既読。アニメは観たり観なかったり。
後半はそれなりにドラマ仕立てで魅せるのですが
いかんせんそこに到達するまでの前半の詰め込み具合が酷い。
えっもう次の話いくの?という感じで常においてけぼり。
大根役者ではないのですが
キャストの人選間違ったか、それとも演技指導が足らなかったのか
役になりきれてない人もちらほら。
竹内力さんが一番雰囲気出てたってどういうことなの…。
未読ならそれなりに楽しめるのかなぁ。
それとも期待値が高過ぎましたか。
前半1時間がとても勿体無く感じました。
原作を読んでしまうと物足りない
アニメを見て面白い作品だと思ったので、原作まで読んで更に惚れ込んだだけに映画化は期待反面、短い時間にどれだけ面白さや農家酪農をテーマにした作品らしさが盛り込めるかな?と割り切りつつ観てきました。
んーやっぱりジャニーズアイドルの作品なのかな、面白かったけど詰まる所原作を読むのが一番楽しい。
脚本が全てを壊してしまった。
小学生の頃に祖父と見た「ゴジラvsメカゴジラ」以来の試写会であった。この映画は原作は漫画であり、アニメ化もされているが、私はその両方を見ていなかった。そのため、純粋な農業高校映画として見た。率直に言うとストーリーがひどい。主人公の成長する過程がすっ飛ばされたまま物語が進み、監督が語っていた主人公を演じた「中島健人のダサさ」もあまり伝わらず、ずっとジャニーズであった。
しかし、北海道の大自然は綺麗で見ていられた。また、「農業高校あるある」のようなユーモアに富んだ場面が何度もあり(おそらく原作から引用したであろう場面)劇場も笑いが起こっていた。さらに、豚の精肉の実習など、食に関するリアルなシーンはドキュメンタリー性があり、考えさせられた。そのため飽きることはなかったが、脚本がダメにしているのでいい映画ではなかった。
企画としては良いので、もう一度作り直して欲しい作品であった。特に、食の大切さを感じることが出来れば、ストーリーの中での感動は邪魔であるので、そこを削ってほしい。
舞台挨拶は楽しかったです
原作は良作なので試写会を楽しみにしていましたが、
映画はかなりガッカリしました。
全体的に平板過ぎてテンポが悪いです。
元々淡々とした話なのですが、映画だと眠くなってしまいます。
また主役の人間的な成長を感じ取れません。
もちろんストーリーは進行していくので理解はできるのですが
演技では表現できていないので感情移入できなかったです。
演出の狙いなのでしょうがモブ学生の素人棒読みがチョイチョイ出てきます。ストーリーとは関係がないシーンで館内の笑いが起きるのですが実に蛇足に感じました。
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