「ほぼ原作どおりに、すごくうまくまとめてあるけれど、この作品は細かいところを端折ってはいけないと思う。」銀の匙 Silver Spoon Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)
ほぼ原作どおりに、すごくうまくまとめてあるけれど、この作品は細かいところを端折ってはいけないと思う。
ほぼ原作どおりに、すごくうまくまとめてあるので感心した。
でも、ストーリー重視で、あまりにもうまくまとまりすぎていて、原作を読んでいる人には退屈かもしれない。
読んでない人はいいかもしれないけど、読んでいる人には完全にネタバレ状態で、きびしい。
実写化されたキャラクターを見てみたいという気持ちもあるけど、合っているのは富士先生役の吹石さん(なんとなく胸や腰のあたりが・・・)くらいで、他の人はいまいち合ってない。
合っていないのだけれど、驚いたのは黒木華さん。
最初はまったく気づかなかったのだけれど、よく見ると黒木華さん(”小さいおうち”のタキさん)だった。
この人やっぱりすごい。原作のキャラのイメージには合っていないのだけれど、それなりに映像に溶け込んでいて、まったく違和感がない。
この人なら、どんな役でも、それなりにできるような気がした。
でも、この作品の場合、ストーリーやキャラクターより細かいところを重視してほしかった。
農業や酪農のことなど、普通の人は知らないし、ましてや農業高校、しかも北海道のことなど、行った人でなければわからない。
すごく身近な食料のことなのに、まったく知らなかったので、その奥深さや、独特の世界観に驚く。
その辺のところが面白いところなのに、尺があるのでしかたないかもしれないけど、ストーリー重視で、その辺のところがカットされているのが残念でした。
よく考えてみると、普通、当たり前と思っていることでも、当たり前のことなど一つもない。
毎日食べる食料だって、スーパーに行けば、当然のように買えるけれど、けっして当たり前というわけではない。
いろんな人々のたいへんな仕事と、他の生物の犠牲の上で、そこにあるものである。
普段はそんなこと考えもしないけど、あだやおろそかにできないものである。
映画とは関係ないけれど、同じように、毎日飲む水道水だって、普通の人は蛇口をひねれば出ると思っているだろうけど、けっして当たり前ではない。
そのルートや設備を作る人の苦労はもちろんのこと、そのシステムを毎日管理する人や、日々水質を調べ、検査している人がいることで成り立っている。
そういう人の仕事や苦労、他の生物の犠牲に感謝しながら、食べたり飲んだりするべきだと気づかせてくれる作品でした。
でも、他の国の人はわからないけど、大多数の日本人は”銀の匙”持って生れてきていない思う。(そもそも食料自給できないし・・・)
どちらかというと”地獄の食事”の長いSpoon(匙)に近い。
そのまま”地獄の食事”をするなら、どうしようもないことになりそうが気がする。