「こんな実写化なら原作者もしあわせなんじゃないか。」銀の匙 Silver Spoon 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
こんな実写化なら原作者もしあわせなんじゃないか。
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デビューから一貫してオリジナル脚本で勝負していた𠮷田恵輔監督が、初めて原作モノに挑戦した作品。まだ原作マンガが連載中であり、物語のどこまでを切り取っていかに再構成するかが問われたはずだが、原作では主人公が過労で倒れて参加できなかった文化祭をクライマックスに持ってきて、しかし映画では主人公を外すことなく、でも「いてほしかったのに参加できなかった人物」を別に設定するという脚色の妙に唸った。原作の核を損なうことなく、映画としてひとつの物語にまとめあげる見本だと思っている。
そして上島竜兵を校長役に起用して、その佇まいを活かして一切ギャグキャラにしないなど、適材適所で新たな面を引き出す𠮷田流キャスティングが冴えている。アイドルのオーラを消した中島健人、当時はまだ無名の脇役だけど明らかに他と違う存在感を発揮していた岸井ゆきのと矢本悠馬、実写化中でもほぼマンガそのままの役を絶妙な塩梅で演じた黒木華らの若き日の姿を見られるのも、今にしてみたらかなりのお得感がある。
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