「善vs.悪ではなく悪vs.悪」悪の法則 arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
善vs.悪ではなく悪vs.悪
恐ろしく不親切な映画である。
やけに哲学的な台詞の応酬が続き、
ぼんやり台詞に気を取られていると、
誰が誰をどう出し抜いたのかというサスペンスの部分が分からなくなってしまう。
しかし、ここで描かれているのは、「悪vs.悪」の世界。脚本のコーマック・マッカーシーが自身の小説で繰り返し描いてきた世界だ。
主人公の“カウンセラー”は、弁護士という仕事柄からも、そもそもは「善vs.悪」の世界で生きてきた筈だった。
ライナーという入り口を通して、本来属していた世界から、一歩踏み出してしまう。
そこが、「善vs.悪」の世界ではなく、「悪vs.悪」の世界だと知らずに。
殺るか、殺られるか、
生き残るためには非情にならざるを得ない世界。
気付いた時にはもう引き返せない。
すでに選択はなされてしまったのだ。
舞台は国境の街。テキサス州エル・パソ。
アメリカとメキシコ、両方の国が存在する街はまた、その“悪の法則”の境界線もまた曖昧なのだ。
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