「最後の大作」天国の門 デジタル修復完全版 ko_itiさんの映画レビュー(感想・評価)
最後の大作
初見のときは「凄いもの」観てしまった気分だった。それは悲惨な物語と素晴らしい映像だと思っていたが。今回見直すと若干違っていることに気がついた。
もちろん、物語りと映像の印象は変わってはいない。気がついたのは演出の部分、観客の気持ちの良い魅せ方の要素でであるロマチシズム、ヒロイズム、センチメンタリズムを意図的に廃しているのに気がついた。前作の『ディアハンター』はセンチメンタリズムで終わっているのに対して、この作品は観ている者の溜飲を下げないで終わらせている。もしかしたらこれが「凄いもの」正体だったのかもしれない。そして、さらに、もしかしたら当時の酷評も(予算をかけたわりには)ここが原因だったのかもしれない。
ともあれ、この作品を期に山師的な大作は減ってゆきマーケティングとリスク管理が重視される大予算映画が増えていった状況をまさしく見てきた自分にとってあの時に観たこれは「最後の大作だったんだ」と感慨するしかない。
コメントする