「美化されていると認識しつつ大いなる感動」そこのみにて光輝く SHさんの映画レビュー(感想・評価)
美化されていると認識しつつ大いなる感動
佐藤泰志原作の映画は3本目。やはり病んだ社会を感じたし、最も荒んだ世界観だったかもしれない。しかし、不思議と最も美しく感じたし、映像や演出が巧みだったためなのか、もっとも美しい作品と感じたし、思いのほか感傷的にもなった。
脚本も演技も濡れ場も全てが優れていたように感じたし、見事な映像とともに全てが綿々とした連なりを持っているような気がした。ゆえにちょっとしたフレーズで思わず号泣してしまう。
綾野剛、菅田将暉、そして池脇千鶴の演技が見事で病んだ世界でつねに光り輝く。現実世界では有り得ない輝きであり、底辺で美男美女が見事に絡み合う矩形の世界は完全に美化されたもので、原作の本質とは乖離しているのかもしれない。しかし、伝えようとしているところは原作とは何ら変わらないと信じるし、信じたいし…万が一少し違ったとしても、美しき池脇千鶴の名演で心動かされ、結果的にこの作品を賞賛するに至る。
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