「町の無機物たちが織り成す極上のドラマ」ブルー・アンブレラ うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
町の無機物たちが織り成す極上のドラマ
これは非常によくできた短編ファンタジーです。
子どもの頃、天井のシミが顔に見えたりした経験は誰にでもあるでしょう。それを発展させた自由な発想で、楽しく、美しく、ちょっぴり悲しく描いたアニメーションは、CGにぴったりの素材で、無機物にまるで生命が宿るかのような演出と、さりげなく雨の降るリズムに合わせたスキャットなど、徹底して飽きさせない演出には感動します。
見方ひとつで、街がこんなに表情豊かなエキストラに囲まれた舞台になるなんて、どうしてこんな発想ができるのでしょう。
都会の中で、少し疲れた人の一服の清涼感になるような、そして、雑踏の中で誰もが感じたことのある孤独を癒すような、不思議な味のあるアニメーションです。
最後に起きる奇跡には、賛否があるでしょうが、短い時間で、よくこれだけのエモーショナルなドラマを表現できたなと、感心させられました。
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