ソウル・フラワー・トレインのレビュー・感想・評価
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まさかの花電車
まさかの、まさか、フラワー・トレインは花電車だが遊郭の芸妓のお座敷芸の方だとは思ってもみなかった。父親視点で観たなら悪夢のような現実、地獄に落ちた心地でしょう。
ただ、平田満さん扮する父親は悩み、葛藤はするものの新世界ストリップ劇場の踊子に対する妙な理解は大人だなぁと感心してしまう。確かに職業に貴賤は無いし、天の岩戸以来、人類最古の舞ではあるが、自身の娘となったら別でしょう。
とてもじゃないが満さんのような酸いも甘いも噛み分ける大人になる自信はありません・・。
熱演でしたが度々歌う唐獅子牡丹は余りにも調子はずれで、いただけませんね。
大阪がファッタジック
ロビン西さんは、オレが初めて講談社の忘年会に行って話し相手もいなくてポツンと孤独と向き合っていいた時に、とても優しく話しかけてくださって、おしゃれできれいな彼女さんといらしていていた。当時は別のお名前で『俗物王』という漫画を描いていらして、愛読していたのでとても嬉しかった。今にして思うと、愛想もなく何の面白味もなく無名のオレなんかに一体なぜ声を掛けてくださったのだろう。よっぽど気の毒に見えたのだろうか。今から20年前のことだ。
監督の西尾孔志さんはオレが大阪でやっている難波映画研究所の上映会にもゲストでいらしていただいた事もあり絶対必見の映画だった。
そんな思いを抱きながら映画が始まったら、切ない父と娘の二つの物語だった。特にぐっときたのはスリの娘の方のエピソードだった。オレにも3回しか会ったことのない娘がいて、全く愛情を注ぐことのできない状態にあり、日々彼女を傷つけ続けている。そういうわけで彼女がグレたりストリップ嬢になったりしてもなんの不思議もない。そしてオレが野垂れ死んでも彼女は遺骨を取りに来てくれないだろう。そんな思いを抱きながら見た、警察の場面ではとても感動した。
スリの女の子がとてもかわいらしく、ちょっと出っ歯なところもリアルな存在感と優しさと孤独を感じさせて素晴らしかった。新世界や通天閣もファッタジックなほどに魅力的だった。
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