「このテーマを安易に扱わないで。」ルームメイト とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
このテーマを安易に扱わないで。
予告編を観てワクワクしながら視聴。
心理戦・心理劇を期待していたのに。
う〜ん。
演技バトル???…仲良しごっこ? 恋愛ごっこ? 中学生の友達関係・漫画原作の恋愛映画だってもう少しマシなんじゃ? 山場のはずのスナックの場面は高校生の文化祭出し物? 謎あかしの場面が安易で…(>_<)。
グロい場面も、ホラー的な要素も、サスペンスとしての謎解きも、すべて中途半端。キレが悪すぎる。もたもたしていて後味の悪さだけが残る。
何が言いたかったんだろう?
「あんな嫌な行為をされている間、耳元で何度も何度もささやかれていた名前なんか消したかった」(思い出し引用)というくだりは、胸打つものがある。
この映画はかなり原作を変えていると聞く。きっと、原作は練り込まれたプロットがあって読み応えがあるのだろう。
けれど、映画は? 何が撮りたかったのだろう? ホラーっぽく仕立てました。さあ、怖がれ、驚けって? 突貫工事のような映画。このテーマを急ぎ仕事で安易・安直に扱ってほしくない。そこが不愉快。
それでも、深田恭子さんはただひたすら美しく、可愛く。背筋もすらっと伸びて所作も美しく…。とんでもないことやっている演技でもかわいく、そこだけが不気味で怖かった。
(演技はおいておいて)
そして舞台となる、ルームのインテリア。予告も青と黒と鏡の銀色でまとめたセンスには脱帽。
スナックのインテリアは昭和30年代?
病室もあり得ない設定ながら不気味さは満点。あの病室から始まるのなら、すべて妄想の世界、夢オチにしてしまえばよかったのに。
ただ、好奇心と偏見を煽るだけの安易な企画・脚本・演出。力不足。
役者は頑張っているのは認めるけれど、力不足。
印象ワードに「不愉快」を入れてほしい。
本当に苦しんでいる人へ敬意と思いやりを持ってほしい。