「あれホンモノかしら。」トランス ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
あれホンモノかしら。
鑑賞前の想像ではちょっと違う方向に話を捉えていたけれど、
そうか、タイトルがトランスってことは、やはりこういうことか。
と、観ている途中から、だんだんと流れに乗り出してくる作品。
何も知らないで観た方がもちろん楽しめると思うけど、
ある程度知ってから観たとしてもエェ?という気分にはなれるので、
まぁ~あとは好き好きでご判断ください、といったところ。
少なくとも一筋縄ではいかないお話なので、中盤からの急速展開を
どう感じるか…にかかるのかな。ちなみに最後まで目は離せません。
盗まれる絵画、泥棒一味、など色々と出てはくるんだけど、
主要な人物はたった三人。主人公サイモンとフランクとエリザベス。
この三人の関係性がガラリというか、コロコロというか、かなりの
変貌ぶりを遂げまくるので、そのあたりを観逃さずについていければ、
何となく全貌が見えてくるかも…とはいえ、中盤以降でしっかりと
ネタばらしはされるので、あーそういうことだったのか。は大丈夫。
が、今作の変わったところは、その後もまだどんどん話が複雑化し、
一体どう決着がつくのか見えてこないところ。総てに於いて不信感。
観ている側も、何が何なのかが分からなくなってくる。
なに、そうくるわけ?とJ・マカヴォイにしてやられること請け合い。
だけど、R・ドーソンには、もっとしてやられるかも~。
複雑な関係性を巧みに操る監督の腕前は大したもの。
普通そうは持ってこないでしょー。と、度肝を抜く演出も見事だが、
後半に近づくにつれて、なんかイヤな感じになってくるのが私的に
スッキリとしない原因になった。深層心理を暴く面白さはあるけど、
結果として個人の人間性を疑いたくなる展開にやや溜飲が下がる。
女として共感できるかどうか、もポイントかなぁ。
(しかしあの拘りには仰天したわねぇ!惜しげもなくお見事に披露~)