「するりととけてしまう」トランス saitofjさんの映画レビュー(感想・評価)
するりととけてしまう
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あやふやな土台に家を建てていくような物語。
あやふやなものが、さらにあやふやなものを作り上げるので
混乱の渦に巻き込まれる。
しかし、映像や演出的な盛り上がりが、それを上手く導いてくれて
あやふやな何かなのだが、何かが組上がっていく。と感じさせる。
もうすうぐで何かが出来てしまうという高揚感に引っ張られていく。
そして、出来上がりの家を全体から俯瞰すると気付かされる。
あやふやだったモノは、騙すために意味も無く追加された飾りではなく
その家を構成するために必要な材料だったと。
ぐちゃぐちゃに積み上げたように感じていたそれが完成すると
玄関の先は、少しこじゃれた庭を付ける余裕があるほど
整った家になってあらわれるのである。
真実は何?というタイプ作品はよくあって、そのタイプに属する作品で間違い無いのだが
ここまで綺麗に清々しく終わってしまう作品はあまりない。
それでいて、それまでの過程はうんざりするほど頭をかき回してくれる。
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