MUD マッドのレビュー・感想・評価
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初恋、別離、そして冒険
他の方の感想を読むと『スタンド・バイ・ミー』を引き合いに出しているのをチラホラ見るが、なるほど『テイク・シェルター』のテイスト(マシュー・マコノヒーの出演や川というモチーフから『ペーパー・ボーイ 真夏の引力』の方をむしろ思い出すが)から考えると意外なほどストレートな少年の成長譚になっていると思う。
エリスとネックボーンの二人を演じた二人(タイ・シェリダンとジェイコブ・ロフランド)はとても良かったと思う。
それだけに惜しいと思うのは、マッドの年齢設定だ。
決して、マコノヒーが悪いという訳ではないのだが、マッドという役は、エリスやネックボーンの少し年の離れた兄貴くらいの設定の方が良かったのではないかと思う。少年二人が憧れと同情を持つ相手としても、最愛の女の為に後先考えずに行動してしまう直情的な人物としても、ストーリーの展開や他のキャラクターとの兼ね合いからもいろいろしっくり来ると思う。
マッドの追っ手の描き方についても問題がある。マッドが殺した相手の父親キングは恐ろしい男だというのは、彼の台詞だけで全くそれが伝わってこないし、賞金稼ぎも合わせかなりの人数がジュニパーが滞在するモーテルを見張っているはずなのにしエリスが見つからずに彼女を訪ねているのも疑問。
追っ手の恐ろしさをきちんと見せないと二人の少年がどれくらい危険を冒しているのか分からない。
少しづついろいろな部分で詰めの甘さが、残念だった。
マシューマコノヒーファンです
海外ドラマの「二人の刑事」を観ていて、この作品を見ました。子供心を持つ大人と成長していく子供達との友情?節々にアンバランスな感想を持たせながら終わってみると爽快感!マシューマコノヒー作品はこれからもチェックしていきます。
少年の瞳がいい!
マシュー・マコノヒーが主演の作品。私的には、ビデオ表紙右側の少年、エリス役のタイ・シェリダンが主役の映画でした。壊れかけた家庭、伝えられない親友、ささやかな冒険、不安定な愛、ワダカマリと憤り、暴力、そして大きな秘密。少年の繊細さと取り巻く大人の悲しさがたくさん詰まってます。しあわせな家庭で過ごした人には響きづらい内容かなとも思いますが。私のようなマシュー目当てで観ようとした方には、ちょっと物足りないマシュー具合ですw ターミネーター、アメリカン・ヒストリーXで少年の瞳が気になってしまう人は要チェック♪
ある時にしか出会えない感情
人生にはある年齢にしか体験できない感覚がある
以前に女流作家が書いていた文章にこのような趣旨があった・・
『最近の10代はかわいそうだ。10代といえばプラトニックな恋を味わえる人生で唯一の時代といえる。それがマスコミや社会の大人の罠にはまって大人の都合のいいようにSEXにおぼれさせられている。そんなに早くSEXに夢中にならなくても手が触れるだけで心臓が張り裂けそうな恋愛を経験してからで十分間に合う。10代にしか出会えない感情を一生の宝にできるのに・・それは人生の損失といえる』
ストーリーや登場人物は日本ではお目に掛れないような世界だけれどヒーローではない男たちがいつまでも少年でいることと
愛にさまよう年をとれない女たちの物語かもしれない。
見て損はない。
大人の階段登る切なさ
某宇多丸さん風に言うと「恋愛映画ではないけど恋愛について考えさせられる映画」ですね。恋人のために戦い続けるマッドの男気と、マッドとの触れ合いを通して恋の酸いと甘いを知り。大人の階段登る少年のなんとも言えない切なさ感。いいですね。女性に幻想を抱く男性諸氏に。
可もなく不可もなく…
スタンドバイミーを彷彿とさせる、思春期の少年のどこか甘酸っぱいような懐かしい雰囲気は個人的には好きでした。終始淡々としているので、特に山場がなくあれ?これで終わり?感は否めませんでしたが、マシュー・マコノヒーの演技が素晴らしかったのでプラマイ0といった所です。
様々な愛の形を知り、少年は大人になる
アーカンソーの川辺に住む二人の少年、エリスとネック。ミシシッピ川に浮かぶ島の森の中で木に引っ掛かったボートを見つけ、隠れ家にしようとするが、先客が居た。二人は風変わりな男、マッドと密かに奇妙な交流を続けるが、マッドは脱獄犯だった…。
「テイク・シェルター」のジェフ・ニコルズ監督作。
アメリカ南部の田舎町の雰囲気がノスタルジックを醸し出し、少年の友情と成長、ほんの一時のサスペンスフルな冒険…。
あの日、あの時、あの場所で…かの名作を彷彿とさせる。
愛する女、ジュニパーの為に殺人を犯したマッド。
決して極悪人ではなく、むしろナイスガイ。
島に潜みながら、愛する女との再会を夢見る。
自身も年上の女性に想いを寄せるエリスは、マッドに共感を抱く。が…、
マッドのジュニパーへの愛は、ハッキリ言って報われない愛。それ故、無償の愛とも捉えられるが、どんな理由でも殺人を犯してしまったら狂気の愛でもある。(マッドの名はここから来てるのか…?)
そしてエリスもまた、愛の不条理を知る。
そんなエリスにマッドは愛を信じる事を教える。
様々な愛の形を目の当たりにし、少年は一歩、大人へと成長していく…。
監督がマッド役にマシュー・マコノヒーを想定していただけあって、これは彼のハマり役。
やさぐれ具合と憎めない好印象が絶妙にマッチ!
改めて、マコノヒーの演技力の高さを思い知らされる。
エリス役には、「ツリー・オブ・ライフ」でブラッド・ピットの息子を演じた、新星タイ・シェリダン。
実質彼が主役なので、恥じない繊細で素晴らしい演技を披露。
良作への出演続き、楽しみな逸材!
ジュニパーに、リース・ウィザースプーン。マッド曰わく、“最高の女”なのだが、正直好みが分かれる所…。久々にいい女にも見えたのだけれど…?
マッドの事を知り、川辺に独り住む謎の老人、サム・シェパードはさすがの存在感。
オスカー受賞、出演作が続々公開…今年はマシュー・マコノヒーyear。
その最たるは「ダラス・バイヤーズクラブ」だろうが、本作も捨てがたいほど見事!
切なく懐かしい
男どうしにしかわからない約束や友情、
愛を描いた作品。
中学生の主人公というフィルターを通して
描かれており、少しずつ大人になっていく
姿を見て、なんだか懐かしい気分に
させられ、そして自分の息子と重ね合わせ
ながら見てしまった。
そんなちょっと懐かしイイ良品と言える。
ボートハウスに憧れる
悪ガキ二人、逃亡犯(悪そうで影があり格好良い大人)、離れ小島、秘密、初恋。好きな要素が沢山あって、面白かった。僕も小学生の頃ゲームセンターのゲーム機にチップみたいな物を差し込んだら、金を払わずに永遠出来たそのチップを持ってる先輩格好良かったなと思い出した。ただ、突っ込みどころも多く、別に島に隠れてる必要はなかったのではないか?女はモーテルにいる必要あったのか?
敵の親玉の親父は極悪人だと言ったけど、悪い部分が全く出て来なかったなぁとか思ったけど、田舎で過ごす思春期の雰囲気を楽しめたから良かった。
脱ぎ要員と演技巧者のハーフ&ハーフで絶妙なバランス。
良かった。
特筆すべきは主演のマシュー・マコノヒー。
単なる筋肉美を魅せる脱ぎ要員ではないことは最早周知の事実。
成功したグラビアアイドルの如く肌の露出を減らし続ける彼ですが。
役者として一皮剥け評価された事を嬉しく思う反面、若干の寂しさもあったのですが。。
本作では脱ぎ要員と演技巧者の側面がハーフ&ハーフで絶妙なバランス。
大人になりきれないマッドという微妙なバランスの登場人物を演じる上で非常に適役だった印象を受けました。
作中のマッドは日焼けして図体はデカいが、青年時代からの想い人に想いを持ち続けている。
その中身と入れ物があっていないアンバランスさが本作を牽引する大きな魅力になっていたと思います。
またタイ・シェリダン演じるエリスも良かった。
彼がマッドに協力するのは或る関係性の永続性を確かめるため。
それは彼自身の問題であり、彼の家族の問題でもあり。
周りの人間が否定、もしくは諦めを抱いている中で彼の一途な希望は眩しくもあり哀しくもあり。
序盤、川をボートで下る遊びにワクワクしていたエリスが終盤見せる顔は見物です。
少年エリスだけではなく登場人物達皆が成長する本作。
終盤に畳み掛ける盛り上がりシーンの後半部分が思った以上に盛り上がらなかったり。
フリにフッた或る人物の“凄さ”が殆ど表に出なかったり。
話の作りとして若干残念な部分がありますが、マッドとエリスの友情物語としては十分楽しめました。
オススメです。
泥川に浮かぶ青春。
今作ではまだ筋骨隆々のM・マコノヒーを観ることができる。
肉付きに関係なく?演技が巧いことに唸るが、
主人公はこのマッドと出逢う14歳の少年・エリスの方である。
どう考えてもあの名作を思い出しそうな設定なんだけど、
(リバーにソックリな子役も出てくるし)
出来映えとしては今ひとつ。少年の成長工程はいいんだけど。
舞台がかなりの雰囲気を醸し出す、ミシシッピ川沿岸の町。
14歳の少年エリスは、親友のネックボーンと川に浮かぶ島へ
探検に出る。そこで木の上に打ち上げられたボートを見つけ
喜んだもつかの間、その中で寝泊まりしているマッドという男
に出逢う。彼は愛する女の為に殺人を犯して逃亡中の身だった。
冒険とサスペンスが入り混じり、おまけにミシシッピ川である。
その風景を観ているだけで「あ~映画だ、これは」と唸らされる。
かつてこんな情景の映画が、年に何本も公開されていた。
一人の女に振り回されるオトナの男と少年との対峙。
真実の愛。が何なのか、それを求めて奔走する少年の夢と破滅。
信じた男と彼が愛する女の仲を取り持とうと、懸命に走り回る
エリスの奮闘ぶりは、壊れゆく夫婦愛と年上女の自分への愛を
取り戻さんと懸命な姿として映し出され、何とも涙ぐましくなる。
彼よりもっと大人のはずのマッドですら、少年がそのまんまで
成長したような男であり、彼と少年の間に入るS・シェパードが
言い残す言葉が、グサリグサリと中高年の心を抉っていく。
分かる。この歳になって聞くその説教なら、心底理解できる。
10代の自分に向けられていたあの頃の大人の目線がこれだった。
どうして若い頃には、それが理解できなかったんだろうなぁ…
この作品に心を持っていかれるのは、そんな心境を齎すからか。
ラストの銃撃戦や(あの死人の出方!)、蛇にかまれる事件など、
なぜここにそんな展開を持ってくる?と思うような運び方をする
脚本になっていながら、なぜかこの物語はほろ苦くて愛おしい。
(ジュニパー役がリースとは。オトコの好みってホント分からんわ)
マコノヒー川シリーズ
『真夏の引力』のようなどこか不気味な川沿いに住む人々を描いているのは何故なんだろう?またマコノヒーは二枚目というより、アブナイおじさんという感じで、その人生も恋愛も淀んだ川のように泥沼です。何故かサム・シェパードが変なお爺さんとして登場しますが、同じくグレーなのです。
『悪人』は九州の田舎に住む人々の満たされない感じを苦々しく描いていましたが、マコノヒーが出演したこの『アメリカのボートピープル』二部作も救いのない感じを描いています。
子役二人が大人たちから、結局は大切に守られて難局を乗りきっていくのは、希望を託されているような感じで、僅かに希望をほのめかして終わるというあくまで沼みたいなグレーな物語でした。
エリスはいい大人になる。いい男になる。
14歳、流れに飲まれやすいくせにツッパってみせる年頃の少年の物語。ちょっと怪しげで危険な匂いに惹かれる年頃でもある。
今では考えられないかもしれないが、家のバイクを乗り回し、手製のイカダで沼に漕ぎ出し、誰のものかわからない掘っ立て小屋を自分の基地にして遊んでいた10代前半の頃を思い出しながら観た。
マシュー・マコノヒーが演じるような男に不用意に近づくエリスやネックボーンみたいな少年がいるはずがないって思う人もいるかもしれないが、親とは違う大人が放つ怪しい匂いに寄り添っていたい気持ちは共感できる。一歩、大人の世界に踏み込んだ達成感があるのだ。
親は子に現実を教える。エリスの父親は、仕事は遊びでないこと、収入を得ることがどんなに大変なことかを説く。自分より少しでもマシな人生を送るよう願っているのだ。
けれども、この年頃の少年は冒険を好む。大人が危険と思うこともそうは感じない時期がある。
背伸びしたひと夏の経験は、ほろ苦い思いと懐かしさを伴って、その後の糧になる。
エリスはいい大人になる。きっといい男になる。
思い込みと勢いで行動する時期が少年時代の一過性のものに終わらずに歳を重ねたのがマッドだ。一途だが物事を客観的に判断できない。少年から見たら大人の男だが、酸いも甘いも知った向かいのボートハウスの老人(サム・ペキンパー)から見たら子どもと同じだ。
大人の世界に一歩踏み出した少年、大人になりきれていない男、そして老いても頼れる男。スタンダードな取り合わせだが、世代を超えた男たちの絆が川面をそよぐ風のようで心地いい。
まあまあだった
川や沼、ボートやバイクなど好きな要素がてんこ盛りで、特にボートハウスは憧れる。オレもボートを自在に操って川を行き来して釣りがしたい。ところが、思ったほど興奮も感動も薄く、寂しい気分になった。
逃亡犯と少年の友情物語ということで、逃亡犯はてっきり極悪人だと思っていたら、ナイスガイだった。しかし彼は嘘つきであるとか、彼女も信用できなさそうだったり、表面だけでは解釈できないようであった。
彼女は逃げる気がないのなら、一体なぜ街にやってきて、モーテルに泊まっているのか意味が分からなかった。そんなすっきりしないところが女心なのだろうか。
敵のお父さんが、悪魔のような人物とのことだったが悪魔性は全く描かれていなかった。本当に凄みのある極悪人が見たかった。
対岸に住んでいる元スナイパーのおじいさんがかっこよかった。
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