「初恋、別離、そして冒険」MUD マッド arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
初恋、別離、そして冒険
他の方の感想を読むと『スタンド・バイ・ミー』を引き合いに出しているのをチラホラ見るが、なるほど『テイク・シェルター』のテイスト(マシュー・マコノヒーの出演や川というモチーフから『ペーパー・ボーイ 真夏の引力』の方をむしろ思い出すが)から考えると意外なほどストレートな少年の成長譚になっていると思う。
エリスとネックボーンの二人を演じた二人(タイ・シェリダンとジェイコブ・ロフランド)はとても良かったと思う。
それだけに惜しいと思うのは、マッドの年齢設定だ。
決して、マコノヒーが悪いという訳ではないのだが、マッドという役は、エリスやネックボーンの少し年の離れた兄貴くらいの設定の方が良かったのではないかと思う。少年二人が憧れと同情を持つ相手としても、最愛の女の為に後先考えずに行動してしまう直情的な人物としても、ストーリーの展開や他のキャラクターとの兼ね合いからもいろいろしっくり来ると思う。
マッドの追っ手の描き方についても問題がある。マッドが殺した相手の父親キングは恐ろしい男だというのは、彼の台詞だけで全くそれが伝わってこないし、賞金稼ぎも合わせかなりの人数がジュニパーが滞在するモーテルを見張っているはずなのにしエリスが見つからずに彼女を訪ねているのも疑問。
追っ手の恐ろしさをきちんと見せないと二人の少年がどれくらい危険を冒しているのか分からない。
少しづついろいろな部分で詰めの甘さが、残念だった。
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