「アクション路線のコナンもまたよいもの。」ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE 長井 祥和さんの映画レビュー(感想・評価)
アクション路線のコナンもまたよいもの。
子供のころは頻繁に再放送を見ていたルパンⅢ世だが、普段テレ
ビを観ない私の中では、名探偵コナンの前にすっかり影が薄くな
ってしまっていた。ところが、CS放送に活躍の場を移して新シリ
ーズが放映され続けているそうである。喜ばしい。
ともに魅力的なキャラクター設定が売りといっていい両者。かろ
うじてとはいえ、現実に則った設定のコナンシリーズ。一方、現
実度外視のコミック路線が持ち味のルパンⅢ世シリーズ。観る前
からどちらの世界観で描かれるのか興味を持っていた。観終わっ
た感想としてはルパンⅢ世側の世界観が勝っているように思えた
。
本作では、コナンの推理が働くことはほとんどない。ルパン一味
のアクション路線に、コナンとその仲間達が振り回される展開が
主である。それはそれで楽しめたので問題はない。むしろ、個性
ある登場人物達に見せ場を与え、ストーリーを破綻させないため
、脚本にはさぞ苦労したことと察する。
そのためだろうか、コナンとルパンが最初に共演したテレビシリ
ーズが、本作の前提として濃厚に設定されている。それなのに、
前作への説明描写が省略されているのはいかがなものか。前知識
なしでスクリーンの前に臨んだ私が悪いのだが、これはかなりつ
らい。前作の追憶シーンをエンドクレジットで流されても・・。
コナンシリーズでは必ず出てくる、子供の姿に変えられたエピソ
ード紹介のように、前作の粗筋が冒頭で流して欲しかった。ただ
、前作の内容が本編の謎解きに影響を与えているため、それが難
しかったことは理解している。脚本家の難しいところである。
少し苦言を呈したが、前作への説明が省かれた点を除けば、楽し
く見終わることができた。コナンだけでなく、我がアニメ大国は
、ルパンⅢ世という魅力的なシリーズを持っていることを再確認
できたことは大きい。2012年に放映されたという峰不二子を主役
としたシリーズも見てみたいものである。
2014/1/11 109シネマズグランベリーモール