「言葉が刺さりまくる作品」親密さ 映画野郎officialさんの映画レビュー(感想・評価)
言葉が刺さりまくる作品
ひとつの演劇作品を創り上げるところから実際の舞台公演までを、4時間半という壮大な時間で描いた作品。
冗長に感じるかと思ったが、特に公演パートは普通に演劇作品の記録映像として楽しめた。(その後、演劇を映像で観るのもわるくないと感じて、最近増えてきている配信を探して観てしまったぐらい)
全体を通して役者の芝居からカメラワークまでリアルを追求した演出になっている。
その分敢えてなのか製作パートではセリフが聞きづらい部分が多々あり少しストレスに感じた。
全編を通して、とにかく言葉が染み渡る。
特に印象に残った、朝焼けのなか歩きながら話した「言葉は想像力を運ぶ電車」の詩を書き残しておきたいと思う。
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言葉は日本中どこまでも想像力を運ぶ。
私たちという路線図。
一個の私は想像力が乗り降りする一つ一つの駅みたいなもの。
どんな小さな駅にも止まる各停みたいな駅もあれば、
仕事をしやすくしてくれる急行みたいな言葉もある。
分かる人にしか分からない快速みたいな言葉もあって、
一番言葉の集まる駅にしか止まらない新幹線みたいな言葉もある。
地下の暗闇を走る言葉もある。
地下から地下へ受け渡される邪な想像力たち。
でも時より地下から地上に顔を出してビルの谷間を潜るとき、
冬の太陽が無理矢理縦縞に変えようとするから想像力は眉を顰めたりします。
時々届くのが早いほど言葉は便利な大事なものにも思えます。
だけど本当に大事なのは、想像力が降りるべき駅で降りること、
次に乗り込むべき駅で乗ること、ただそれだけです。
だからダイヤグラムの都合から、ぎゅぎゅう詰めの急行とスッカスカの各停が同じ時刻に出発して、
ほんの一瞬同じ速さで走る時、急行のなかの想像力が羨ましげに各停を眺めることもあるのです。
2012年には東京メトロ副都心線と東急東横線が繋がるみたいに、
今まで繋がれなかったあれもこれも繋がるんだろうか。
そんなことを想像しています。
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※Thanks Theaterで鑑賞