「ラストが違う」容疑者X 天才数学者のアリバイ りかさんの映画レビュー(感想・評価)
ラストが違う
湯川が出て来なくてスッキリした作品だった。
設定やストーリーはほぼ同じだが、
母親と娘を叔母と姪にしている。
伏線になっていたソッコがフリーダイビングを
趣味にしていたこと。
担当刑事がソッコに疑いを持つキッカケとなる
ネコのイラストのメモ。
ソッコの部屋の本の間から見つけ、
翌日弁当屋でも同じのを見つける。
観る者にわかりやすい。
殺された男の娘ではなく姪にしたのは、
男に乱暴される可能性が大きいからか。
実父でないからか。
オリジナルでは、
最初来た時は話だけして直ぐ帰る際に
突然、娘が実父を後ろから殴りつける。
リメイクでは、
元夫とはいえ叔母が襲われそうだったので、
たまりかねた姪がトロフィーで殴りつけた。
リメイクの方が説得力がある。
事件があったとされる9日ねアリバイ工作や
ソッコがもう1件の殺人をしたのもほぼ同じだが、
リメイクでは、
ラスト近くで刑事がサラっとファソンに話す扱い。
ファソンに好意を持つ男性がオリジナルより
容姿が良くこれも頷ける。
湯川が大学時代の同窓生として出ない代わりに
しつこく叔母を怪しむ担当刑事が、
ソッコの高校の時の同級生となっている。
そして、
警察関係者ではない湯川と違い、
担当刑事は、
真犯人を探そうとする真面目な気持ちと相まって、
無実の人間を犯人にしてはいけない、
真実の罪を探りそれに相応しい人間に
相応しい罰が与えられるべきという考えを持ち、
ソッコがしてもいない事件の犯人として名乗り出たことに
義憤を感じ、同情さえ見せるところもある。
同時に
真犯人であろうファソンが気持ち昂らせ、
警察の護送車に縋りつきに来た際にも、
辛すぎる現実を判然とさせてしまったことに、
後悔の念に近いものを抱いているように見受けられた。
ただ、ソッコが犯した殺人は同情の余地が無い。
天才数学者が優秀な頭脳をそんなことに使ったことへの
残念な気持ちもあるのだろう。
オリジナルのラストも感動ものだが、
この同級生としての思いは、
湯川の胸の内におさめられているにとどまる。
最初はいわゆる善人が、ふとした弾み?で、
抗うことができない事態で自分たちの身を守る為に、
しかたなく犯した罪とも言えることから、
担当刑事もやりきれない思いであることが表されていて、
観る者の納得に至るのではないかと思った。